2019 Fiscal Year Annual Research Report
構文部分木頻度の確率的情報に基づく第二言語習得理論構築のための基礎的研究
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16H03444
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉浦 正利 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (80216308)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 第二言語習得論 / 頻度効果 / 学習者コーパス / 視線計測 / 平均統語距離 / 二重目的語構文 |
Outline of Annual Research Achievements |
学習者コーパスデータについては、3年間にわたって収集した合計約1800の縦断的学習者コーパスデータを、一つのコーパスとして利用できるように整理してまとめ、この3年分のコーパスデータ全体を包括的に分析した。エッセイスコアの全体的な上昇を確認した後、どのような言語的特徴がスコアの上昇に寄与するかを順序ロジスティック回帰を用いて分析し、総語数・節数・従属節数、複雑な名詞句の数、平均T-unit長、T-unitあたりの動詞句の数、低頻度語のタイプ数とトークン数が有意に影響するという結論を得た。このデータから構文部分木を抽出し、学習者と母語話者との相違を分析したところ、母語話者が機能語を含む部分木を多く使うのに対し、学習者は内容語を含むものを多く使うという傾向が観察された。構文部分木の統語的複雑性をあらわす新しい指標「平均統語距離」を使い構文木の複雑性を比較したところ、学習者の方が「浅い」ことが確認された。 視線計測実験については、追加データを収集し、英語母語話者と英語学習者とで構文の処理にどのような相違があるかを分析しなおしたところ、二重目的語構文を使った場合、学習者・母語話者いずれも、動詞の種類によって動詞の直後の予測に差があることが確認された。これにより、学習者も、母語話者と同様に、二重目的語をとる傾向が高い動詞(give, show)については、構文に関する確率的知識を持っていると結論付けられる。 本研究で得られた知見および関連する先行研究に基づき、第二言語処理能力の発達を構文部分木の習得という観点から考察した。構文部分木という言語処理単位の概念を使うことで、コロケーションやコンストラクションを統一的に扱えるだけでなく、形態素や統語規則の習得も構文部分木の習得に伴い習得されると考えることで、第二言語処理能力の発達を包括的に説明できる可能性がある。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Remarks |
Nagoya Interlanguage Corpus of English for SLA Testbed
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Research Products
(6 results)