2016 Fiscal Year Annual Research Report
「気づき」を促す英語発音指導教材アプリの開発と検証
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16H03451
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
多良 静也 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (00294819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立松 大祐 愛媛大学, 教育学部, 講師 (10756828)
米崎 里 甲南女子大学, 文学部, 准教授 (60737352)
大嶋 秀樹 滋賀大学, 教育学部, 教授 (90342576)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 英語発音 / デジタル教材 / アプリ / minimal pair / ピクチャーカード / タブレット |
Outline of Annual Research Achievements |
英語発音学習アプリ教材を開発する際,教育現場のニーズに合わせて進めることは重要かつ意義あるものであると考え,まずは,小学校教員を対象として,「どのようなデジタル教材を欲するか」という主旨の自由記述式アンケート調査を実施した。テキストマイニングの結果から,「音の違いに気づかせるもの」「子どもたちがゲーム感覚で楽しめるもの」「フォニックスに関わるもの」といった声が上がった(JES小学校英語教育学会口頭発表資料)。 このことを踏まえた上で,28年度の後半より,アプリの概要について議論を重ねてきた。そして,JES口頭発表時の議論および技術的な面も考慮して,minimal pair practice を中心としたアプリの開発を進めることで一致した。また,子どもたちに様々な英単語およびその発音に触れさせる内容をアプリに組み込むことは音声指導や語彙指導の観点からも有益であるという議論となり,英単語のビンゴゲームを導入することとした。アプリの内容を決定した後,OSをどのようにするか,音源をどのようにするかなどの検討に入った。OSについてはアンドロイド,音源についてはナレーション業者に所属する英語母語話者に音声の提供を依頼した。1月後半より,アプリ開発業者との協議をしながら,英語母語話者および録音スタジオの確保を行い,3月にアプリの正式な仕様書を作成し,音声データを準備し,開発業者に依頼をした。 小学校英語教育は低学年化・教科化を迎えるにあたって,様々な課題に直面している。その一つが指導教材の不足である。1年目の研究の社会的意義としては,教育現場のニーズを具体的に把握し,それを踏まえたアプリ開発を進めたことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の研究の目的は,「研究実績の概要」にも示したとおり,教育現場のニーズ分析を行い,英語発音学習アプリに関する内容を決め,開発に着手することであった。開発業者と数回の議論を行い,仕様書およびアプリで使用する音声データの作成と提出が年度内にできたことから「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては,開発した英語発音学習アプリの効果について教育現場を中心に検証することである。 小学生を対象とした minimal pair pratice をゲーム感覚で楽しみながら学んでもらい,小学生の聞き分け能力がどの程度向上するのか,また,それに伴って,英語発音に対してどの程度敏感になれるかといった調査を予定している。また本アプリにはピクチャーカードを活用したビンゴゲームが搭載されている。音声指導と語彙指導の両方を兼ね合わせたデジタル教材であることから,英単語を知ることで学習意欲をさらに向上させるといった効果も期待できる。実際に授業で活用してもらいながら,音声面や語彙面での効果についても検証を行う予定である。 米崎・多良・佃(2015)では,教員の英語発音に対する不安について議論をしている。本アプリは,小学生だけではなく,小学校の英語教員や教員予備軍である大学生の「英語耳」を鍛える格好の練習教材でもある。もちろん教員だけではなく,それ以外の大学生にも英語音のトレーニングとして十分に機能することが期待される。小学生以外の英語学習者をも視野に入れて,このアプリの効果について議論をする。 本アプリは,当然のように,改良が必要なところもあるため,小学生から大学生,教員に使っていただいた感想を収集し,さらなるバージョンアップをしていく予定である。そして効果の検証およびバージョンアップが完成したところで,無料配布をして,英語発音に興味がある一般の英語学習者にも提供する予定である。
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