2016 Fiscal Year Annual Research Report
21世紀型リタラシー獲得を目指した小中連携の英語プログラムの開発と検証
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16H03453
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
アレン・玉井 光江 青山学院大学, 文学部, 教授 (50188413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 洋 東京家政大学, 人文学部, 教授 (30409825)
豊田 ひろ子 東京工科大学, 教養学環, 教授 (40276209)
本田 勝久 千葉大学, 教育学部, 教授 (60362745)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小中連携 / リタラシーカリキュラム / phonological awareness / fluent reading |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は 21世紀型のリタラシーを獲得することを目指し、小中連携のもと 4技能を統合したプログラムを開発し、それを検証していくことを目的としている。平成 23年~26年の科学研究費基盤 Bでは、本研究代表者が音声教育を伴ったリタラシープログラムと教材を開発し、公立小学校においてその効果を検証した。 5年間にわたるデータ収集とその分析の結果、 児童はPhonemic Awareness, Oral Language, Phonics, Vocabularyに関する能力を身につけ、優れた decoding能力を獲得したことがわかった。これを受けて今回の研究では構築した初期リタラシープログラムの実践しその効果を続けて検証する傍ら、小中連携を更に強化し、中期リタラシープログラムを開発する。具体的には語彙の発達、Fluency Readingの獲得、リーディングストラテジーの指導、 ライティング指導、リタラシーに関する動機などついて研究を進める。 さらに、これまでに実施、検証してきた公立小学校週1回の授業体制で開発した初期リタラシープログラムが、モジュール15分の授業を3回追加される週2回のプログラムに変更するために必要なカリキュラムおよび教材を開発していくことも目的の一つとなる。 初期リタラシー研究の主な参加者は東京都のある区の小学校(研究1年目は23 校、2年目以降34校)に通う児童とその学級担任である。この区では研究代表者と他の2名の研究分担者が英語推進委員として関わっている。また中期リタラシープログラムの研究には同地域の中学校2校が参加している。小学校からの接続(中学校1年10月頃まで)とそれ以降の効果的なプログラムを開発するために能力測定、授業見学、教材作成を行い、中学での効果的な語彙、リーディングストラテジー、およびFluent Reading指導の研究に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初期リタラシープログラムについては、上記した小学生の参加者を対象に、彼らの能力を3時点で測定する検証方法を取っている。今年度も①アルファベット知識、②音韻(音素)認識能力、③語彙知識、④リーディング能力とそれぞれの能力を測るテストを適宜実施し、そのデータを分析している。また、参加者のリタラシー学習に関する動機や情意面の変化を測定することを目的としたアンケートも実施した。これらのデータ収集は当初計画したとおり、大変順調に進んでいる。 また、小学生対象のプログラムでは今までの週1時間の授業に加え、担任が一人で行う15分の短時間学習のカリキュラム開発に乗り出した。言語教師としてのトレーニングを受けていない学級担任だけの指導によるため、教材開発に早急に取り掛かる必要があり、研究代表者がそれを行った。現場の先生方と協力し、45分の授業と関連した教材を作成し、フィードバックをもらいながら適切な変更を加え、来年度に向けて冊子を作成し、研究協力校を増やしてモジュール用のカリキュラム、および教材の効果を実証する予定にしている。これは当初計画していた研究ではなかったが、適切に対処したことにより当該研究がさらに現場に役立つものになっている。 中期プログラムについては、上記の中学校が参加したが、初期リタラシーとの連携で必要な教材を開発し、現場で検証を行った。研究代表者および分担者で授業見学を繰り返し、現場の中学校教員と議論を重ねた。また中学校高学年においては教科横断型の学習をめざし、Science Readingと呼ぶ教材を開発し、教員からは教室で使用した後フィードバックをもらった。この研究も当初計画していたものよりもかなり現場に役立つものとなり、深化している。来年度に向けてカリキュラム、および教材の効果を実証する予定にしている。また、教員の変容については研究分担者が引き続き質的研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目にあたる今年度は前年度に引き続き、小学生参加者を対象にテストとアンケート調査を継続して実施し、プログラムを検証する。今年度はさらに10 校がプログラムに参加するため、ベースラインになる語彙テストと抽出校だけが受ける他のテストとの関連の考察を深めたい。また、昨年度実験的に始めた短時間学習の研究は協力校4校と連携を保ちながら、定期的に授業を観察しつつその効果を検証していく予定である。 中期リタラシープログラム研究に関しても前年度開発した教材を使用し、授業見学や担当教員からのフィードバックを通して質的にその効果を検証していく。特に中学校1年生の後半からの生徒用に開発した教材の効果については、Fluent Readingに結びつくものとして丁寧に生徒の反応を見ていく予定である。中学校では教科書の学習と有機的に連携しながらも独立した時間帯で行われるリタラシープログラムをどのように実施するかについても、現場の教員へのインタビューなどを通して検証していく。また引き続きリタラシー獲得に対する生徒の動機、情意面がどのように変化するのかを検証し、必要であれば次年度のプログラムを改良する予定である。
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Research Products
(15 results)