2018 Fiscal Year Annual Research Report
縦断的コーパスの構築と日本人高校生の英語スピーキング力の発達過程の解明
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16H03455
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
阿部 真理子 中央大学, 理工学部, 教授 (90381425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 雄一郎 日本大学, 生産工学部, 助教 (00725666)
藤原 康弘 名城大学, 外国語学部, 准教授 (90583427)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 縦断的コーパス / スピーキングコーパス / 学習者コーパス / 高校生 / スピーキングの発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本人高校生の英語スピーキング力を3年間にわたり縦断的に追跡し、その発達過程を明らかにすることである。具体的には、(1) 個人レベルでの経年変化のモデル化、(2) 習熟レベルごとの特徴抽出、(3) 内的・外的な学習者要因が発達に及ぼす影響の解明、を行うことにある。これらの研究課題は、スピーキング力の縦断的な発達研究を促進するのみならず、第二言語習得研究のための共通基盤となるコーパスの整備 にもつながる。そして、複数の学術分野(第二言語習得・コーパス言語学・言語テスティング・英語教育)にまたがる研究者が協力・連携することで、日本人高校生のスピーキング力の発達を多層的に把握し、高等学校における教育実践と到達目標の設定、大学入試におけるスピーキン グテスト導入の議論にも役立てることができる。初年度から行ってきた成果発表(学会発表、論文執筆)のうち、最も大きな意義のあるものを国際会議のシンポジウムにおいて発表した。そしてそのシンポジウムで発表した内容は、書籍として出版されることが決定した。今年度の学会発表7件のうち、4件は国際学会における発表であり、幅広い研究者からフィードバックを得ることができた。そしてそれらの発表は、次年度の国際シンポジウムの発表において、さらに詳細に発表できることになった。また人手による音声の書き起こしと、ディープ・ラーニングを活用した機械によるテキストの書き起こしを同時に行い、その違いに関する研究を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、データ収集が完了した。またデータ収集と並行して、データの整備と分析も行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
スピーキング力の発達に影響を及ぼしている要因を明らかにした上での教育実践への提案を行う。スピーキング能力の実態を解明するためには、研究者の活動だけではなく、教育現場の協力を得て、『データ提供・コーパス構築・データ分析 ・教育実践の提案』という一連の流れを統合的に行うことが、非常に重要である。そこで、協力高等学校の教員と、テストとアンケートの結果、および これまでの研究成果を共有し、英語教育および教育実践に対してさまざまな観点から提案を行う。また最終年度は、日本と英国の研究機関が共催する国際的な学習者コーパスのシンポジウム(ランカスター大学および神戸大学)に参加し、本研究プロジェクトが構築してきた縦断的スピーキングコーパスの紹介を行い、第二言語習得研究のための共通基盤として利用する方法について提案する。本研究で構築した縦断的スピーキングコーパスに関して、最終年度までに提示してきた観点以外の新しい側面からも応用可能性を探ることで、その価値を高めることを目指す。さらには、国際シンポジウムと国際会議に出席することで、今まで以上に多くの研究者や教育者からの批評とフィードバックを広く受け入れ、関連分野の研究者とのネットワークを強化する。以上のような活動を通じて、本研究の総括と今後の研究課題を見極める。そしてコーパスの構築が完了した暁には、より一層、データ分析と応用研究に特化した研究活動を始めるための準備を行う。
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Research Products
(10 results)