2017 Fiscal Year Annual Research Report
前近代東アジアにおける術数文化の形成と伝播・展開に関する学際的研究
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16H03466
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Research Institution | Fuji Women's University |
Principal Investigator |
水口 幹記 藤女子大学, 文学部, 准教授 (40339643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多 藍 (山崎藍) 明星大学, 人文学部, 准教授 (10723067)
名和 敏光 山梨県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30291868)
佐々木 聡 大阪府立大学, 人間社会学部, 研究員 (60704963)
高橋 あやの 関西大学, 付置研究所, 研究員 (60734241)
清水 浩子 大正大学, 文学部, 非常勤講師 (80307131)
藤井 誠子 (佐野誠子) 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (80359827)
松浦 史子 二松學舍大學, 文学部, 准教授 (80570952)
田中 良明 大東文化大学, 東洋研究所, 講師 (90709354)
洲脇 武志 大阪府立大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10625156)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 交流史 / 前近代東アジア / 術数文化 / 天地瑞祥志 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ベトナムと中国を中心対象地域に設定し、研究を進めていった。 1、研究検討会の開催:国内において、計三回の研究検討会を開催した。特に第二回には、立教大学日本学研究所と「前近代東アジアにおける術数文化の伝播・展開―日本とベトナムを中心として―」と題した大規模検討会を共催した。ここでは、ベトナム(ハノイ国家大学)からファム・レ・フイ氏を招きご報告を頂いたほか、外部スピーカーもお招きし、広く意見交換を行い、一般聴衆へも本研究課題の意義を伝えることができた。この概要は『立教日本学研究所年報』に掲載予定である。 2、『天地瑞祥志』研究会への参加・翻刻校注の刊行:毎月一度開催される『天地瑞祥志』研究会に参加し、本資料の輪読・校注作業が進展した。本年度は、本書第十六・第十七の翻刻校注が刊行でき、研究作業が大いに進展した。 3、国内外調査:複数の研究班メンバーが共同でベトナム調査を敢行した。多くの漢籍を所蔵するハノイの漢喃研究院を中心に文献調査、史跡調査を行った。調査先は、漢喃研究院のほか、国会議事堂地下展示室・タンロン王城遺跡・ベトナム国立歴史博物館・文廟(以上ハノイ)・バクニン省博物館・陶おう廟碑・延応寺(以上バクニン省)などであった。特に、漢喃研究院の院長や研究員と懇談し、今後の協力を取り付けたこと、また、国宝に指定されている隋代の仁寿舎利塔銘を実見・調査できたことは、今後のベトナムの歴史と術数との関連を考える上で大きな収穫であった。また、現地の道教研究者とも意見交換を行うことができ、今後の研究の足がかりを得ることができた。その他、各研究班により、各地の資料館・図書館・文庫での調査が行われた。 4、関連論文の翻訳:ベトナム語の論文としては、グエン・コン・ヴィエット「漢喃暦法の文献における二十八宿に関する概要」を日本語に翻訳することができ、研究班メンバー全員での共通認識形成に役立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基づいて、検討会・調査・校注作業・翻訳作業を行ってきた。それにより、本研究課題のキーワードでもある「術数文化」に関する基礎的な知識の共有が研究班メンバーの中のみならず、外部スピーカーなどを交えての検討会の開催・海外研究者との意見交換などを通じて、外部にも一部浸透してきたと感じている。校注に関しても、昨年度は刊行することができなかったが、本年度は、『天地瑞祥志』第十六・第十七の翻刻・校注が刊行でき、研究作業が大いに進展した。来年度も引き続き、複数公開する準備をすすめている。 予算面でも、とくに旅費の面では早期に出張計画をたてることで、かなり支出を抑えることができ、有効な活用ができている。 以上により、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、次年度は「中国と日本」を中心対象地域に設定し、研究を進めていく。中国国内調査に関しては、海外共同研究員である孫英剛氏と密に連絡を取り、慎重に調査を行っていくつもりである。また、検討会も本年度同様に三回を予定しているが、そのうち第二回は、山梨県立大学で本課題関連のシンポジウムを開催し、中国からは孫氏を基調講演舎として招聘し、本課題メンバーも登壇し、「術数文化」に関する議論を深めていく予定である。 『天地瑞祥志』の校注作業も本年度同様に進めていき、雑誌などの媒体を通じ、その成果を公表していく予定である。また、海外関連論文の翻訳も本年度同様に行っていく。 以上の分析を通して解明された事柄については、各研究班メンバーが論文・学会発表などの形で、随時公表していく。 そして、課題の成果報告として、「前近代東アジアの術数文化」に関する書物(勉誠出版の雑誌『アジア遊学』の場をお借りする)を本課題修了後速やかに刊行する予定となっている。
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Research Products
(51 results)