2018 Fiscal Year Annual Research Report
三都の巨大都市化と社会構造の複合化に関する基盤的研究
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16H03478
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
塚田 孝 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (60126125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉森 哲也 放送大学, 教養学部, 教授 (20226468)
吉田 伸之 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (40092374)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 三都 / 巨大都市 / 都市社会構造 / 周縁性 / 比較史 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的である、三都(大坂・江戸・京都)それぞれの都市拡大と社会構造の複合化(α)および三都を結ぶ諸要素(β)について、調査・研究を進めた。 三都研究会を組織し、各部会ごとに調査・研究を推進するとともに、成果を共有する研究会を実施した。大坂では、研究の基盤作りのための町触の輪読会(1回)を実施するとともに、雛屋町「丁内諸用記」の解読を進めた。大坂市中に南接する難波村の庄屋・戸長文書である成舞家文書と九郎右衛門町の年寄・戸長を勤めた橘屋(橋本家)文書の補充調査を行うとともに、これらの史料を中心に道頓堀の地帯構造を明らかにする研究を進めた。京都でも引き続き、「大仏廻」をとりあげ、妙法院の門前とその周辺社会について、柏原家文書(商家)などの調査を行った。さらに小円座(研究会)を開催して、同地域の社会構造とともに商人や流通についても議論の場を設けた。江戸では、『東京の歴史』地帯編4・5・6の編集を通して、「浅草」や「品川」、「四谷」などの周縁部の地帯構造の解明を進めた。 三都研合同研究会で研究分担者・連携研究者・研究協力者が報告した内容を論文集として刊行する作業を進めている(『シリーズ三都』3冊として刊行予定)。 三都の世界史的位置付け(γ)については、昨年の中間総括円座の課題②アジア都市との比較史を発展させて、日本と中国の都市史関係史料の比較、および巨大都市としての大坂・大阪と上海の比較社会史の国際シンポジウムを上海市社会科学院と共同で開催し、ここでも史料の生成・残存の特徴と社会構造の密接な関係という重要な論点を共有した。その一部を科研報告書としてまとめるとともに、中国での出版を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三都の各部会での調査・研究を進め、三都研究会もおおむね順調に開催することができた。昨年度の中間総括円座を踏まえて、日中の比較都市史の国際シンポジウムを開催し、その成果の一部を『近世巨大都市の社会構造と史料』(三都研究会国際シンポジウム報告書)を刊行することができた。 また、これまでの研究成果の全体をまとめて『シリーズ三都』(江戸巻・京都巻・大坂巻)として出版する準備をほぼ調えることができた(5~7月に東京大学出版会から出版予定)。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者・研究分担者を中心に運営委員会で緊密に連絡を取り合い、各部会などの研究状況を把握し、研究計画の推進していく。共同の史料調査・研究を進めるとともに、最終の今年度は、各研究者が担当するテーマでの研究成果を集約する『シリーズ三都』の刊行を実現させ、その書評シンポジウムを開催する。それを通して、三都それぞれの都市周縁部の拡大過程に関する分析の深化を図り、史料の生成・残存と社会構造の密接な関連についてさらに理解の共有を図る。これによって、今後の三都間の比較史、および国際的な比較史の基盤を形成する。 また、海外の研究協力者(米国、フランスや中国)と緊密に連絡をとり、上海社会科学院との共同で国際シンポジウムを大阪で開催して、継続して議論を継続する。
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