2017 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパにおける公共史の実践ー歴史博物館、歴史教養メディア、歴史教科書
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16H03497
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
剣持 久木 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (60288503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 潤 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (10349243)
近藤 孝弘 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (40242234)
西山 暁義 共立女子大学, 国際学部, 教授 (80348606)
川喜田 敦子 中央大学, 文学部, 教授 (80396837)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 公共史 / 歴史教科書 / 博物館 / ヨーロッパ / 歴史教養メディア / 映画 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目は、これまでの研究の成果の中間報告である成果報告書の出版に向けて全力を注いだ。その結果、2018年3月に『越境する歴史認識ーヨーロッパにおける公共史の試み』(岩波書店)の刊行に至っている。また、近藤、川喜田はそれぞれオーストリア、ドイツで在外研究を遂行した。近藤は、ウィーン大学現代史研究所のOliver Rathkolb氏と「オーストリア歴史の家」の経緯についてインタヴューし、川喜田は、ギーセン大学でドイツ・ポーランド共通教科書委員会委員長のHans-Jurgen Bomelburg氏および同教科書の協力者のVadim Oswald氏から情報収集を行っている。また近藤と川喜田は共にゲオルク・エッカート国際教科書研究所のEckhardt Fuchs氏と意見交換を行なうなど、現地で精力的に実地調査を行なっている。西山は、ヨーロッパの研究者との共同編集である大著Europa. Notre histoire (Les Arenes)を9月に出版している。さらに6月にはソウルでの植民地帝国についての国際シンポジウムに参加し、2018年2月にはポーランドで研究協力者のBarbasiewicz女史(ヤギエヴォ大学)のゼミとの合同ワークシップを実施ている。また吉岡は、ポーランド広報文化センター主催のシンポジウムで度々研究報告を行っている。剣持は、10月にフランス、ブロワで開催された歴史集会Rendez-vous d'histoireに出席し、前述のEuropa. Notre hisotireのお披露目行事をはじめ、フランスにおける公共史の実践の場である同集会を視察した。また、11月には日韓歴史家会議に日本側代表の一人として招かれ、歴史認識問題解決の方法としての公共史、とりわけ東アジア共通歴史博物館の可能性を問題提起している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画で掲げている3つの柱のうち、歴史教養メディアの分析と歴史博物館の調査は順調であるが、昨年度に引き続き、ドイツ・ポーランド共通教科書の研究については若干遅れている。(全4巻の)同教科書は一昨年の第一巻に引き続き、昨年は第二巻も刊行されたものの、昨年時点でも同教科書を実際に使用している教育現場が確認できなかったため、現地調査は繰り越されている。本年度は、ブリュッセルのヨーロッパ歴史博物館、グダニスクの第二次世界大戦博物館の視察と合わせてワルシャワのドイツ人学校での同教科書の使用状況を視察する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で、ワルシャワのドイツ人学校でのドイツポーランド共通教科書の使用が確認されたので、9月には視察を実行する予定である。また公共史の研究に関わるフランス人、ドイツ人研究者の招請も予定している。
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Research Products
(16 results)