2018 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパにおける公共史の実践ー歴史博物館、歴史教養メディア、歴史教科書
Project/Area Number |
16H03497
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
剣持 久木 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (60288503)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 孝弘 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (40242234)
西山 暁義 共立女子大学, 国際学部, 教授 (80348606)
吉岡 潤 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (10349243)
川喜田 敦子 中央大学, 文学部, 教授 (80396837)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 公共史 / 歴史教科書 / 博物館 / ヨーロッパ / 歴史教養メディア / 映画 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年目は、2年目の最後に刊行が実現できた研究成果(『越境する歴史認識』岩波書店)を踏まえて、ほぼ順調に研究が進行した。特に9月にはヨーロッパにおける公共史の最新の現場である、ポーランド、グダンスクの第二次世界大戦歴史博物館とブリュッセルの「ヨーロッパ歴史の家」を近藤を除く全員で視察し、両博物館の関係者ならびに展示作業を担当した企業関係者にも面会して意見交換することができた。なお、近藤は、12月にはウィーンでオーストリア歴史観の視察、ならびにウィーン国立図書館での歴史教育関連の資料収集を実施している。また、吉岡は、札幌の北海道博物館、敦賀の人道港ムゼウム、舞鶴の引揚記念館など、国内の歴史博物館を視察している。海外からの研究者の招請に関しては、10月にフランスから国立科学研究センター研究員のアンリ・ルソー教授、ドイツからゲオルク・エッカート教科書研究所の元副所長のファルク・ピンゲル氏を招いた連続講演会や研究会を実施することができた。特にルソー教授には、フランスで話題の歴史ドラマ「フランスの村」についての解説、ピンゲル氏には、ヨーロッパと東アジアの戦争博物館の比較についての詳細な分析をしてもらったことが収穫であった。さらに11月には、現代史研究会で『越境する歴史認識』をめぐるシンポジウムを開催した。シンポジウムでの基調報告者の岡本充弘教授は、本共同研究に刺激を受ける形でパブリックヒストリー研究会を立ち上げ、剣持も参加することになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画で掲げた三つの柱のうち、歴史教養メデイアの分析と歴史博物館の調査は順調である。特に昨年は、開館まもないポーランド、グダンスクの第二次世界大戦歴史博物ならびにブリュッセルの「ヨーロッパ歴史の家」を視察し、関係者のインタヴューを実施てきたのは収穫であった。歴史教養メディアについては、フランスの歴史ドラマ「フランスの村」について、フランスから招いたアンリ・ルソー教授と意見交換を実施できた。ドイツポーランド共通教科書の研究については、刊行状況が(全4巻のうち)2巻までで滞り、使用状況も確認できないために、若干遅れている。同教科書は昨年6月に刊行はされたものの、現時点では現場での使用が確認されていないため、実地調査は持ち越されている。使用が確認され次第実地調査を検討するが、使用開始が進まない理由についての調査もすすめる予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
5月にはフランス人研究者を招くなど、今年度も内外の専門家を交えた研究集会を数回開く予定である。吉岡は、今年度はポーランドで在外研究を実施するので、地の利を生かして保守化が懸念されているポーランドの歴史認識対応を含めた東欧における公共史の現状を調査する予定である。また、これまでの研究実績を踏まえて、公共史についての具体的な提言を行う方策を今年度は検討し、来年度以降の新たな共同研究の方策を確定する予定である。
|
Research Products
(11 results)