2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Social History of the "Blue Vienna": A Critical Approach for Globalisation from "below"
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16H03500
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
水野 博子 明治大学, 文学部, 専任准教授 (20335392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 弘明 千葉大学, 国際教養学部, 教授 (20211823)
木村 真 日本女子大学, 文学部, 研究員 (20302820)
江口 布由子 高知工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20531619)
鈴木 珠美 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (20641236)
藤井 欣子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (30643168)
山崎 信一 東京外国語大学, その他部局等, 非常勤講師 (80376582)
古川 高子 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 助教 (90463926)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 移民 / ウィーン / 国民 / 新自由主義 / バルカン / ユーゴスラヴィア(ユーゴ) / ブルガリア / アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、社会民主主義的な「赤いウィーン」から新自由主義的な「青いウィーン」へと変容する史的展開を、「最底辺」社会層の生活史に着目して検討することにある。とくにウィーンに定住化した「移民的背景を持つ人びと」に着目し、1990年代以降急速に進んだ新自由主義的な構造改革の時代をどのように生きたかについて、社会史的観点から解明することを目指している。そこで、本年度はおおむね当初の研究計画に沿って、以下のように研究を進めた。 1.1950年代以降にウィーンに移住した「移民的背景を持つ人びと」について統計資料の調査を行い、歴史的推移に関するデータと現状把握を行った。 2.1990年代以降の「移民的背景を持つ人びと」がウィーンで暮らすようになった送出国側の歴史的背景を調査し、1950年代から70年代にかけて増加した労働移民世代との違いを明らかにした。 3.オーストリア国民論における「移民的背景を持つ人びと」の位置づけを史的観点から行い、5つの研究上の分析視角(労働市場の流動化、越境する労働ネットワーク、「最底辺」化する女性たち、「最底辺」社会層の住空間再編、共生の技法論)に留意して理論化に向けた文献調査に取り組んだ。 4.ウィーン市内部の受け入れ地域側の生活史を考察し、「移民的背景を持つ人びと」を受け入れる基盤形成の様相を把握し、その上でフィールドの候補地及びインフォーマント選定のための予備調査を行った。申請時よりも予算が減額されたため、ユーゴ系、アフリカ系、ブルガリア系の移民に関する調査にしぼって3名の現地派遣を行った。 上記の調査と並行して、28年度は全部で4回の研究会を開催し、調査の途中経過についての情報共有を図った。さらには、移民研究と都市比較史の専門家を2名、オーストリア・グラーツ大学から日本に招へいし、東京と関西で合計4度の国際シンポジウム及び国際ワークショップを開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
移民送出国の事情と受け入れ国側の事情について調査が進んでいる。また、予備調査の過程で、アフリカ系、旧ユーゴ系、ブルガリア系の移民との接触に成功し、29年度~30年度にかけて本格的なインタヴューを行う計画を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は、まず第一に、ユーゴ系知識人コミュニティの在り方を調査するため、本格的なインタビューを開始する。第二に、アフリカ系移民コミュニティにとって重要な役割を果たしている文化団体に接触し、ウィーンにおける生活上の問題を聞き取り調査する。第三に、ブルガリア系移民のインフォーマントの故郷とウィーンでの生活実態を調査する。5つの観点からの理論化をさらに進めるため、新自由主義との親和性を持つウィーンの特性を調査する。本研究の柱となる聞き取り調査を実施するため、今年度は4~5名の調査派遣を見込んでいる。一方、ウィーンの特性に関する調査については、本格的な聞き取り調査に入る前の時期に情報共有できるよう研究会を開催する計画である(29年7月末頃に第1回研究会開催予定)。
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Research Products
(18 results)