2017 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical Research on the Public Sense of Penal Policy
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16H03562
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松澤 伸 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (20350415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 英世 愛媛大学, 法文学部, 教授 (40372726)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 法意識 / 法理性 / 法感情 / フォーカスグループ調査 / 刑罰 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究における第三調査であるフォーカスグループ調査を実施した。フォーカスグループ調査の結果については、ほぼ仮説に合致した予想通りの結果を得ることができた。さらに調査結果について詳細な分析を行い、その後の海外での研究報告(リスボンにおける国際法社会学会)につなげることができた。 第三調査は、以下のようなものであった。すなわち、グループで模擬裁判(扱う事例は第二調査のそれと同じ)の映像を見てもらい、その後に、その事件や科されうる刑罰について議論してもらったうえで(その際には刑罰についての正確な情報を与えた)、その被告人に望ましいと思う量刑を尋ねた。なお、第三調査では、異なる3時点(事例を読んだ後、模擬裁判を見た 後、議論をした後)で量刑を尋ねた。第三調査においては、質問を繰り返す度毎に、回答者が有する犯罪や犯罪者についての情報が増えるように、また、犯罪者との距離が縮まるように設計されている。 第三調査の具体的結果は紙幅の関係で省略し、その分析を述べることにしたい。フォーカス・グループ調査における調査協力者たちの議論を観察した印象からは、彼/彼女らの関心は道具的考慮(いかにすれば再犯を防げるか/被告人の更生を図れるか)にあったこと、すなわち、議論を通じてその重心が道徳的考慮から道具的考慮へと移動したように思われた。そのことで、刑罰が更生にはあまり役立たないこと、ならば短い刑罰が望ましいこと、という考慮へと議論が進んでいき、仮設と合致するような結論に至ったものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年7月、法理性の測定用映像の撮影、編集を行う予定であったが、撮影、編集を行う研究協力者が自身の事情により協力ができなくなった。そのため、3ヶ月の遅延が発生したため、資金の繰越を行った。その後、新たな研究協力者を得て、撮影・編集を順調に行うことができ、それに基づき、第三調査であるフォーカスグループ調査に進むことができた。これにより当初の遅延は解消され、研究は、予定通り順調に推進したと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通りすべての調査を実施することができ、重要な研究成果を獲得することができた。今後は、この成果を元に、さらなる調査・研究に取り組む予定である。特に、第三調査であるフォーカスグループ調査による地検は非常に有益なものが多く含まれているため、この調査を、複数回実施し、調査結果の精度を高めるとともに、新たな知見を得られるようにしたいと考えている。具体的な分析方法としては、従来の数量的・統計的手法による分析のほか、フォーカス・グループ参加者の発言録があるので、それを、テキスト・マイニングの手法を用いて分析し、国民が刑罰に対してどのように考えているかをより正確に知る契機としたいと考えている。
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Research Products
(3 results)