2017 Fiscal Year Annual Research Report
Financial Law in FinTech Era
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16H03566
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
森下 哲朗 上智大学, 法学研究科, 教授 (80317502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小出 篤 学習院大学, 法学部, 教授 (20334295)
加藤 貴仁 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (30334296)
得津 晶 東北大学, 法学研究科, 准教授 (30376389)
道垣内 弘人 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40155619)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フィンテック / FinTech / 仮想通貨 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主として、①米国における海外実地調査、②英国や韓国等の研究者・実務家との法的問題に関する意見交換、③日本における技術者との意見交換、④仮想通貨やロボ・アドバイザーに関する日本法のあり方についての検討、を行った。
①米国(ニューヨーク)における実地調査(2018年3月実施)では、仮想通貨やICOに関する米国の法制の状況や現在の問題点について、現地の主要法律事務所等から情報収集したほか、現地の金融機関等を訪問し、FinTechに関する米国におけるホット・イシュー(顧客情報の利用、RegTechなど)について聴取した。②英国(2017年5月訪問)では、ブロックチェーンを用いた取引における国際私法上の問題や英国法のもとでの仮想通貨の私法上の取扱いについて、現地の研究者・実務家と意見交換を行った。また、韓国等の研究者と共同のシンポジウムでロボ・アドバイザーやAIに関して意見交換を行った。③日本国内では、ブロックチェーン技術に係る技術上の諸問題や技術者から見た法的問題について明らかにするため、NTTデータと共同での研究会を実施した。この結果、法的な検討を行う際に考慮すべき技術上のポイントや、技術者の要請にこたえるべく法的検討を詰めるべき点等が明らかとなり、その成果を雑誌上で公表した。④日本において仮想通貨に関する法律問題に関する関心が高まったこともあり、仮想通貨に関する日本法のあり方に関して検討を深め、検討結果を雑誌等で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、米国における実地調査を行ったほか、英国における問題状況についてもフォローアップし、英米の状況、特に、現在注目を集めている仮想通貨やICOを巡る法的状況について、充実した調査を行うことができた。 今年度の重要な成果として、ブロックチェーンに関する法学研究者と技術者との共同研究の状況を公表することができた。FinTechに関する法的研究を進めるうえでは、技術についての正しい理解が重要であるが、法学研究者、技術者が相互に質問を投げかけあって議論することにより、ブロックチェーン技術に関する理解を深め、今後、法的検討を進めていくうえでの基礎を固めることができた。また、日本法のあり方への提言という観点からは、仮想通貨・ICOやロボ・アドバイザーについての日本法のあり方に関する見解も積極的に公表することができた。 未公表ではあるが、英文での研究結果の公表についても準備を進めている。 課題としては、仮想通貨、ICO、ブロックチェーン、ロボ・アドバイザー以外の問題について、もう少し研究を進めたいと考えている。 以上より、研究は概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
科研の最終年度である2018年度は、①欧米における状況のフォローアップ、②技術者との共同研究の継続、③仮想通貨、ICO、ロボアドバイザー等、これまで既にある程度の研究成果を公表している問題についての研究の発展、④これまであまり研究できてこなかった問題についての研究の推進、⑤研究成果の積極的な公表、を行いたい。
①欧米における実地調査を行い、欧米における状況をフォローアップする。具体的な調査地は調整中であるが、FinTechにおける重要性に鑑み、英国・ドイツ・米国西海岸などから訪問地を選定する。②技術者との共同研究の重要性に照らし、2017年度に続き、技術者との共同研究を継続する。③仮想通貨等については、国内でも法制のあり方に関する議論が盛んになっており、そうした議論に貢献できるよう、研究成果の公表等を行っていく。④仮想通貨やロボ・アドバイザー等、これまで研究成果を公表してきた問題以外にも重要な論点は多い。FinTechを巡る法的問題は多様であり、全ての問題を取り上げることは不可能であるが、海外調査の結果も踏まえて特に重要と思われる問題(例えば、米国調査時に重要な課題として提示された情報の活用を巡る問題等)について、日本法のあり方に関する検討を進める。⑤日本語のみならず英文でも研究成果を公表するとともに、最終年度ということもあり、昨年度は実施できなかった公開の研究会あるいはシンポジウムを実施できるよう努力したい。
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Research Products
(8 results)
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[Book] 信託法2017
Author(s)
道垣内弘人
Total Pages
450
Publisher
有斐閣
ISBN
978-4641137653