2016 Fiscal Year Annual Research Report
中央・地方の選挙制度が政党システムの制度化に与える影響-日・韓・台の比較分析-
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16H03580
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
品田 裕 神戸大学, 法学研究科, 教授 (10226136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 裕 神戸大学, 法学研究科, 教授 (90254375)
砂原 庸介 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (40549680)
濱本 真輔 大阪大学, 法学研究科, 准教授 (20625850)
松本 充豊 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (00335415)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 政治学 / 選挙研究 / 政党システムの制度化 |
Outline of Annual Research Achievements |
国政レベルでは小選挙区比例代表並立制という同じ選挙制度を採用している日本・韓国・台湾であるが、それぞれの政党システムは、安定した二党制(台湾)・一党優位(日本)・新党乱立(韓国)というように特徴的なものになっている。政党と社会の関係や政党組織のあり方といった「政党システムの制度化」の度合いが違うためと考えられる。本研究は、この違いについて、各国の政党の地方的基盤とその違いを生み出す選挙制度や選挙のタイミングに注目しながら説明することを目的とする。 初年度であったので、「政党システムの制度化」についての理論的検討を行うための研究会を開催した。比較的早くから研究に取り組んできた砂原を中心に、先行研究を整理し体系的な理解ができるように努めるとともに、各自がこれまでの研究で得てきた各国の実態や選挙制度に関する知見を説明し、互いに理解を深めた。また、対象地域である日本・韓国・台湾、それぞれの実地調査を行い、各国の主担当(濱本・大西・松本)を中心に、代表者や他の分担者、また研究協力者も含め、調査を重ねた。調査で得られた情報は、データ化の作業を行った。日本に関しては、砂原が上記の理論的考察から得られた知見を適用する議論したほか、濱本が日本の道府県議会選挙の定数、候補者数や党派などに関するデータを最新の状況も含め拡張・整備し、今後、実証分析がスムーズに行えるように準備した。また、大きな政治的変化に直面した韓国や台湾についての有意義な観察が蓄積された。 以上の活動により、これまで各自が独自の関心から進めてきた研究を、各国における政党組織と政党システムの関係についての実証分析を行うという統一された視点から再編成することができた。「政党システムの制度化」の概念の下、同じベクトルで研究を加速させることができる状態になったと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り、初年度にあたる本年度には、先行研究を整理し共有したこと、各自のこれまでの研究関心を統一された概念の下に概ね揃えられたこと、今後の分析の基礎となる観察を重ね、またデータを整備することができた。ただし、韓国ではきわめて大きな政治的変化が生じたため更なる観察が必要になり、また台湾についても政治的変化に加え背後の社会的変化に注目する必要性が想定される。これらは、現実の変化が当初の想定を越えた大きなものであるため追加的な対応が必要になった点であるが、他方、理論的考察と日本への適用に関しては、今後、きわめて早いうちに成果を出しうる程度にまで進んでいる。以上の点を総合的に勘案し判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年度目も、「政党システムの制度化」についての理論的な検討を進めると共に、分担者が手分けして、日本・韓国・台湾について、文献研究と同時に、政党関係者・事務担当者(選挙管理、議会、地方自治など)へのヒアリングを行う。このことにより、政党の地方組織やそれに大きな影響を与える地方議会の選挙制度や選挙のタイミングに注目した政党システムの分析を進められると考える。研究を進めるにあたっては、研究会議で情報を共有した上で、特に今年度に予定されている選挙に注目する。 研究体制としては、今年度も、研究代表者である品田が全体の総括を行い、理論・データ収集および分析・各国について主担当者をおく。理論面は砂原を主担当とし、「政党システム」に関する理論の検討を行う。フィールドとなる日本・韓国・台湾については、それぞれ濱本、大西、松本が主担当して調査を企画主導する。各国の調査で得られた資料・データは、品田が中心となり、整理・加工等の作業を進める。 年度の前半で、研究会やメンバー各自が行った政党システムや地方政治に関する研究およびそこから得られた知見を、本プロジェクトの中心的概念である「政党システムの制度化」という概念の中で改めて位置づけ検討する。 そこから得られたフィードバックを踏まえ、本年度は、各メンバーが地方の政党組織を念頭におきながら、それぞれの国における政党システムの制度化の要因について分析を進め、その成果を共有することで議論を深めたい。今年度は、韓国の大統領選挙が予定されているが、同時に平成30年度以降に予定されている各国の統一地方選挙を念頭に置きながら、日本・韓国・台湾3 ヵ国における地方の政党組織のあり方や機能に注目する。
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Research Products
(20 results)