2016 Fiscal Year Annual Research Report
紛争後の国家建設と治安部門改革:リベラルな価値導入の理念的妥当性と実現への条件
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16H03591
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
藤重 博美 法政大学, グローバル教養学部, 准教授 (20509864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上杉 勇司 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (20403610)
古澤 嘉朗 広島市立大学, 国際学部, 講師 (20612922)
篠田 英朗 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (60314712)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国家建設 / 平和構築 / 治安部門改革 / SSR / 自由主義 / リベラル / リベラリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、内戦に苦しむ国々の国家再建をテーマとするが、多岐にわたる国家再建の活動の中でも、特に治安部門改革(Security Sector Reform)に注目して理論的検討および事例研究を行うものである。こうした改革を国際社会主導で行う場合、往々にして西欧由来の自由主義的な思想を基盤としがちであることの妥当性を理念面・実務面から検討する。この問題意識を念頭に、昨年度の前半では、まず4名の研究メンバー(代表者+3名の分担者)が文献調査とした研究を進め、その中間報告として8月に研究打ち合わせの機会を持ち、それぞれの研究状況を報告するとともに研究全体の方向性や研究上の仮説についての理解を共有した。研究代表者が、8月から在外研究に出たため、その後は主にEメールでやりとりを行い、引き続き研究成果の共有と研究の方向性についての議論を行なった。また、3名の分担者は、それぞれ海外調査を行なった。その中で、当初予定していた南スーダンの現地調査が当面実施できなくなった(現地の治安情勢悪化のため)ことに対応するため、新たに複数の事例(グルジア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、イラク、アフガニスタン)を加え、事例研究を複層的に行うことで、研究の質を高めるということになった。そのため、これらの追加された事例を担当するための研究協力者を新たに加えた新メンバーでの研究打ち合わせを3月に実施し、新メンバーにも研究の方向性や仮説に共有を行なった(参加できなかったメンバーには議事録等で議論を共有)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者、分担者それぞれが各自の担当作業(研究代表者は、主に文献調査、仮説の精査、研究計画の総括、分担者は文献調査、海外調査、仮説の精査補助)をおおむね予定通りに行なった。当初、調査を予定していた事例のうち、南スーダンについては、2016年夏の武力衝突により治安が著しく悪化し、現地調査が難しくなったため、同国に関しては予定通りの現地調査を実施していない。この点を補うため、新たに複数の事例(グルジア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、イラク、アフガニスタン)の事例を追加することとし、南スーダンの事例調査を現時点で遂行しにくい点を補う予定であり、そのために新たな研究協力者の参加を決めた。昨年度中、2回の研究打ち合わせを実施し、本研究課題に参加する研究者間での議論を深めるとともに、研究の方向性に対する理解を共有した。南スーダンについては、今後、現地の情勢を見ながら、現地の日本政府関係者などから情報を得るなどし、現地調査は難しい場合でもなんらかの研究を行うことを目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者については、 本年度前半は引き続き文献調査を中心に行い、研究全体の理論部分の研究を進める。後半には、国際機関、先進国政府などを対象とした海外調査を行う。分担者および研究協力者についても、それぞれ今年度前半は、各担当部分の研究を文献調査を中心に実施する。今年度秋には、第3回目の研究打ち合わせを実施し、それぞれの研究成果を共有するとともに、次年度の研究通りまとめに向けた今後の研究実施の詳細についての議論を行う。南スーダンについては、現地の関係者からの情報収集に努め、可能であれば現地調査を実施するが、現状では実施できない公算が高いため、現地関係者からの情報収集に努める。
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Research Products
(6 results)
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[Book] Peacekeeping and the Asia-pacific2016
Author(s)
Brendan Howe, Boris Kondoch, Alistair D. B. Cook , Rashed Uz Zaman, Niloy Ranjan Biswas, Peter Londey, Sinclair Dinnen, Yuji Uesugi, Keokam Kraisoraphong, Xenia Azenov
Total Pages
184 (114-134)
Publisher
Brill