2018 Fiscal Year Annual Research Report
War and Peace in the History of Economic Thought: Can the dissemination of Economics decrease International Conflicts?
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16H03603
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
小峯 敦 龍谷大学, 経済学部, 教授 (00262387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 菜々子 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (20438196)
牧野 邦昭 摂南大学, 経済学部, 准教授 (20582472)
古家 弘幸 徳島文理大学, 総合政策学部, 准教授 (30412406)
橋本 努 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (40281779)
原田 太津男 龍谷大学, 経済学部, 教授 (60278257)
堂目 卓生 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (70202207)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 戦争 / 平和 / 経済学 / 国際紛争 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、3つの時代と2つの国という特徴的な時期・国に焦点を当て、「戦争・平和と経済学」の複雑な関係を歴史的・思想的に精査することで、「経済学は戦争と回避し平和を構築することに貢献できるか」という根源的な問いに回答する。2017年度は広島修道大学において、平和の経済思想を考えた。そこでは、主に(I)経済学の黎明期(17-18c)が念頭にあった。2018年度は、長崎大学において「戦争と平和の経済思想」研究会を成功裏に終わらせることができた。今度は、主に(II)第2期の帝国主義・総力戦の時代(19-20c後半)が焦点となる。次のようなプログラムを実行した。
第一部「戦争と平和の経済思想」は、2018年9月10日(月)10:00-16:00;長崎大学文教キャンパス 附属図書館・中央図書館多目的ルーム(〒852-8521 長崎市文教町1-14)招待講演 10:00-11:30 「長崎から戦争と平和を考える:経済学史・知性史・長崎学そして古写真研究から」 講演者:姫野順一(長崎外国語大学、司会:南森茂太(長崎大学)。● 第1報告 13:15-14:15 「レナード・ウルフと帝国主義の平和」報告者:籔田有紀子(京都大学ほか) 司会:藤田菜々子(名古屋市立大学)● 第2報告 14:30-15:00 「大戦間期の開発と平和の構想~戦後国際開発体制における実現」 報告者:原田太津男(龍谷大学); 司会:橋本努(北海道大学:地震のためフライトできず) ● 資料閲覧 15:00-16:00 幕末・明治期日本古写真コレクション、グラバー図譜など; 長崎大学附属図書館(中央図書館)。現地の研究者を含めて、これまでの成果を公表できた。
本報告をきっかけに、2019年度中に仕上げる予定の 編著『戦争と平和の経済思想』(晃洋書房)の具体的な形を見ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
追加的に、日本経済新聞社が発行している「日経全文記事データベース」1996-2000 を予定通り仕入れた。これは日本経済新聞、日経産業新聞、日経金融新聞、日経流通新聞 という主要四紙を網羅したDVD-ROM版である。この全文記事検索によって、この時期に、日本の「経済学と平和」「経済学と戦争」の関係性を明らかにできるか、という課題を設定した。
この資料を追加的に購入したことにより、元からビッグデータとの接合を考えていた研究テーマではあったが、新しい視点が開かれたように見える。すなわち、数十年間にわたる言語空間が、客観的に、数値的に、どのように変化してきたのか、という点である。
本研究は橋本論文を除けば、第二次世界大戦後の論考に薄かったわけであるが、この資料などをきっかけに、ネオリベラリズム(新自由主義)と呼ばれる潮流に対して、経済学がどのように影響を受けたか/与えたか という点を再考することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
次の年度は、最終年度として、4年間の成果を集大成としてまとめる。次の視点を徐々に得ている。はじめに~本研究の動機と論点 本研究は経済学の歴史という視点から、戦争と平和の問題を扱う論考である。この序章および続く10の論考を踏まえて、最終的には《経済学の浸透は国際紛争の緩和に貢献しうるか》という難問に答えることを企図している。この序章では、本書の動機や達成目標をまず示した上で、本研究を読み解くために必要な概観を与える。さらに四部に分かれた各章を簡単に要約する(第4節)。
本研究の特徴は、まず序章で全体的な見通しを与えた後、本論で経済学の黎明期・転換期・完成期に応じて、イギリス・アメリカ・スウェーデンの経済学者の眼を通じて、戦争と平和の多様な経済的思考を論じた点にある。ここで《戦争》とは、単なる武力闘争だけでなく、「破壊のための組織的企て」(カイヨワ 1974 [1963]/訳7頁)と説明しておこう 。もう1つの特徴は、太平洋戦争という戦時下において、在野思想家・陸軍・官立高商教員それぞれがどのような思考・行動だったのかを明らかにした点である。11人の執筆者は、上記の難問に答えるべく、対象となる経済学者・思想家を通じて、戦争や平和の問題を自身の専門に引きつけて論じる。最後に結論で、戦争や平和という問題について、経済学的な観点から考察する利点と落とし穴を同時に示唆する。
研究上の難点は、集まった原稿をどのように統一的・有機的にまとめられるかという点にある。これに関しては、ウェブ編集会議なども通じて、なるべく多くの議論の機会を増やすこと、外部の意見をうまく取り入れること、などでたいおうする。
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Research Products
(37 results)
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[Book] 市民社会と民主主義2018
Author(s)
山田 鋭夫、植村 博恭、原田 裕治、藤田 菜々子
Total Pages
389
Publisher
藤原書店
ISBN
9784865781793
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