2016 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical study on the effects of Japanese firms' global activities on their domestic buyer-seller networks
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16H03623
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
乾 友彦 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (10328669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 直美 一橋大学, 国際・公共政策大学院, 准教授 (10573470)
権 赫旭 日本大学, 経済学部, 教授 (80361856)
柏木 昌成 学習院大学, 国際社会科学部, 准教授 (20780836)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 経済政策 / 生産性 / マークアップ / 生産ネットワーク / 中小企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
グローバル化の進展が、顧客企業(多くの場合、大企業)とのネットワークを通じて調達元企業(多くの場合、中小企業や下請企業)の企業パフォーマンスにどのような影響を与えるかを検討した。具体的には、顧客企業が海外からの調達を開始した時に、調達元企業の生産性、マークアップ率、雇用、平均賃金、売上高に与えた影響を検証した。グローバル化の直接的効果、つまり、企業がグローバル化した時に自らの企業パフォーマンスに与えた影響については多くの研究があるが、間接的効果、つまり、企業がグローバル化した時に取引先企業のパフォーマンスに与えた影響を検証した論文は多くない。本研究では、傾向スコア差の差分析という手法を使って、主要な顧客企業が輸入を開始した時に、日本の製造業企業のパフォーマンスがどのように変化したかを検討した。当該分析により、顧客企業が輸入を開始すると、調達元企業に競争促進的な効果をもたらし、調達元企業は雇用維持を図ろうとするため、マークアップ率や生産性が上がりにくいことを示唆する結果が得られた。 またこの分析結果は、近年、大企業と中小企業の格差が拡大している理由の1つがグローバル化であることを間接的に示すとも解釈することができる。グローバル化は多くの場合、全体の厚生を上げるというメリットをもたらすが、格差拡大という視点からは、英国や米国のグローバル化に対する懸念は全くの杞憂というわけでもないと考えられ、わが国においても、グローバル化の進展を踏まえた中小企業の競争力確保の為の施策が求められるという政策的インプリケーションが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外へのアウトソーシングがネットワークを通じて経済に与える効果に関して一定の研究の成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
取引企業の輸出、輸入、対外直接投資の開始の拡大が、当該企業の生産性、マークアップに与える効果を企業規模別に検証する。これに加え、その企業と取引のある上流企業、下流企業のそれぞれの生産性、マークアップに与える効果についてより厳密な分析を進める。加えて、取引企業の輸出、輸入、対外直接投資の開始の拡大が、その企業と取引のある上流企業、下流企業のそれぞれの製品構成、部門構成(特にサービス部門(研究、企画・デザイン等の部門への影響))、労働需要、賃金に与える影響を検証する。
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Research Products
(7 results)