2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of Organizational Capablities and their development in Japanese Service Companies
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16H03655
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
若林 直樹 京都大学, 経営管理大学院, 教授 (80242155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 京輔 法政大学, 経営学部, 教授 (10327140)
関口 倫紀 京都大学, 経営管理大学院, 教授 (20373110)
山田 仁一郎 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (40325311)
山下 勝 青山学院大学, 経営学部, 教授 (80348458)
中本 龍市 椙山女学園大学, 現代マネジメント学部, 准教授 (80616136)
本間 利通 大阪経済大学, 経営学部, 准教授 (90461128)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | サービス経営 / 組織創造性 / 組織活性化 / 組織能力 / 複数事例分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度の成果を踏まえて、サービスのイノベーションに対して、組織やマネージャーが発揮する創造性活性化のメカニズムについて理解を進めつつ、国内や海外での学会報告を行い日本的特性を検討した。大きくは、次の3つの領域で今年度の成果を上げた。第一に、従来の組織創造性活性化に関する組織心理学を中心とした理論を検討しつつ、創造性活性化につながる要因とその効果について検討した。まず、関口らは組織成員が、顧客との共感や彼らの視点を取得する志向性を持つ場合には、企業家的な事業機会を認知しやすい傾向にあるという枠組を考案した。そして、日本とパキスタンでの比較実験を行い、その傾向を一定程度確認し、東アジア経営学会で報告しつつ、その成果をJournal of Business Venturing Insights誌に発表した。本間らも、専門サービスの領域では、成員の役割コンフリクトと組織コミットメントが彼らの組織定着とサービスの一貫性に対して影響することを、International Conference on Human Capital & Knowledge Managementで報告をした。第二に、コンテンツ産業では、日本独自の企業プロデューサーが、クリエーターやリード顧客とのコンテンツ制作に関する実践共同体の構築に大きな役割を果たし、市場ニーズや顧客の嗜好を制作者と共同で分析して、共同創造を行っている特性があることを指摘した。これについては、米国経営学会大会で報告し、一定の評価を受けるだけではなく、Nakano(ed)(2017)で国際出版された。第三に、専門プロフェッショナルサービスに関する日中比較を行いつつ、顧客の幅が拡大する場合に、組織能力と組織業績の発展の仕方に一定の国際的な違いがあることを見いだした。これについては、日本経営学会などで報告し学会誌での掲載を見た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度は、日本パキスタンの国際比較実験も行いつつ、組織成員の顧客への共感や視点の取得が事業開発に役立つ面について理論的だけではなく、東アジア経営学会報告などで実証的な分析成果もあげてきた。また、薬剤師業界を対象としながら、専門プロフェッショナル職での顧客利益に関する役割コンフリクトや組織コミットメントの影響などが長期的な定着とサービスの一貫性に影響を与える面を一定程度見いだし、国際学会での報告と評価を受けた。コンテンツサービス産業で、日本特有の顧客志向のコンテンツサービス生産が起こるメカニズムがその実践共同体の形成であり、実際の映画、映像、ゲームなどに見られることを明らかにした。第三に、弁理士や特許コンサルティングの日中比較からは、顧客の範囲拡大に対応する組織能力に国際的な相違があることわかった。また、今年度は、トリドールホールディングスなどの10社程度のビジネスケースの開発も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、こうした成果の上に、前年の研究を継続して、サービス企業の組織的創造性を活性化し、サービスイノベーションを図る組織能力の特性とその日本的な特徴についての比較検討を展開する。次の3つの領域で進める。第一に、分析枠組の研究と複数比較分析の推進である。perspective taking(他者視点取得)と言う組織心理学理論を基盤に、しながら、従業員の創意工夫すなわち組織における創造性活性化についての分析枠組みを検討すると共に、米国や中国語圏などの研究者との国際比較研究を行う。オーストラリアメルボルン大学のJ. Olsen講師や国立台湾大学の荘教授を招へいして、国際研究ワークショップ を実施して、日本的な特性をアジア比較の観点から分析する。また、従業員の創造性の活性化を促す組織活性化手法について、JR東海などの観光企業などの10程度の優秀サービス事例について、ビジネス・ケースを開発しつながら、定性的な事例研究を継続する。一部の成果について日本経済新聞等や国際研究ジャーナルに投稿をする。 第二にコンテンツサービスにおける企業プロデューサーの役割研究の発展である。コンテンツ産業の研究では、漫画産業やアニメ産業へと別の産業へと分析範囲を拡大しつつ、企業間製作提携や制作の実践共同体での企業プロデューサーのコンテンツの共創過程について分析する。第三に、東アジアにおけるサービス企業の顧客との共創能力を開発する人事管理の分析である。中国広州市でのアジア太平洋ホスピタリティマネジメント国際会議において、日本のレストラン産業や宿泊産業の従業員たちの人的資源管理や顧客マーケティングの手法についての発表を行い、アジアの専門家と共に、その日本的特性についての国際的な観点から研究討議を通じて展開する。また、日本労務学会でも研究成果報告を行う。
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[Book] オープン化戦略2017
Author(s)
安本 雅典、真鍋 誠司(編)
Total Pages
392
Publisher
有斐閣
ISBN
978-4-641-16465-9
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