2017 Fiscal Year Annual Research Report
企業家の活動及び知識の展開過程に着目したイノベーションシステム分析の有効性の研究
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16H03664
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
三藤 利雄 立命館大学, テクノロジー・マネジメント研究科, 教授 (00249286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 明紀 立命館大学, 経営学部, 教授 (30442015)
税所 哲郎 国士舘大学, 経営学部, 教授 (80386870)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イノベーション / イノベーションのシステム / 太陽光発電 / ICT / 破壊的イノベーション / 産業クラスター |
Outline of Annual Research Achievements |
再生可能エネルギーを活用した技術(RET)及び情報通信技術(ICT)に関わる産業におけるイノベーション・システムの形成過程について、企業及び企業家の活動、研究者や研究機関による科学・技術的な知識の創出、及び制度の変更や導入過程に着目して研究を行った。 RETに関しては、特に太陽光発電技術に焦点を当てて研究を進めた。即ち、主として国内の研究者に対してインタビュー調査を行うとともに、各地の発電施設の視察を行った。また、2月にはインドネシアの無電化地域を視察するとともに、現地の人々に対してアンケート調査を行った。この調査に当たっては、インドネシアの政府機関、科学技術政策研究所の若手研究員等と共同で遠地調査を行っている。この成果は7月の国際会議で発表する予定である。 ICTに関しては、ベトナム等東南アジア地域における産業クラスターやスマートコミュニティなどの施設を訪問して、その運用状況などについて調査を行っている。 電気自動車(EV)とICT及びRETとの融合や相互の発展に関わっては、深センに本拠を置くフアウェイやBYDを訪問し、専門の職員と面談した。この成果は、他の知見と併せて7月開催予定の地域デザイン学会地域イノベーションフォーラム(主査は研究代表者)で発表する予定である。 以上の研究活動による成果は、国際会議や国内学会等の場において発表している。また、これまでの研究結果に基づいて、研究代表者は2018年1月に著作『イノベーションの核心(ナカニシヤ出版)』を出版したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RET及びICTに関わるイノベーションについて、これらのシステムの形成過程に焦点を当てて研究を行っており、概ね研究は順調に進展していると考えている。 RETに関しては、インドネシアの無電化地域における太陽光発電事業について現地調査を実施し、本年度に学会報告を行う予定である。また、国内外の研究者や実務家に対してヒアリングを行っており、これらの結果をまとめているところである。 情報通信に関わっては、主として東南アジア地域に焦点を当ててスマートコミュニティの調査を進めている。専門分野の文献や資料を収集のうえ、各地で現地調査を実行し、これらの知見を踏まえたうえで、国内外の学会やコンファレンスなどで研究報告を行っている。 また、EVとRET,そしてICT間の融合と発展に関する知見を深めるために、深センにおいて現地調査を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
企業家や研究者及び企業組織や研究機関、大学などにおける知識の創出活動や活用と同時に、各部門における制度の導入や変更などに着目しながら、イノベーションに関わるシステムの形成並びに発展過程を分析する。そのうえで、得られた成果を論文や著作等にまとめて発表、出版行うこととしている。 具体的には、技術的なイノベーション活動が活発に展開されているRET及びICTを主たる事例として、国際的な動向を視野に入れながら研究を進めることとしている。これに加えて、近年大きな注目を集めているEVとRET及びICTとの相互作用過程について調査を行う。 そのために、RET由来の発電技術やICT、及び必要に応じてEVに関わる国内外の実験施設や実証実験、あるいは運営サイトなどを視察し、情報を収集することとしている。地域的には日本のみならず東アジア、東南アジア、アフリカ等の発展途上国・地域を主たる対象とする。 即ち第一に、これらの地域におけるRET特に太陽光発電技術の開発、導入、運用に関わる調査を行う。第二に、ICTやソフトウェアに関わる産業クラスターやスマートコミュニティその他関連事業の展開や運営状況を調査する。また、必要に応じてEVの動向調査を組み込む。第三に企業の運営実績や各種統計データなどに基づいて業務分析等を行う。また、これらの調査に関わって、適宜研究者や実務家、企業家、政策立案者等へのインタビュー調査を行う。 なお、今年度も国内外の学会やコンファレンスに発表するとともに、専門家や研究者との議論を通じて、分析を深めていきたい。
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