2018 Fiscal Year Annual Research Report
アジア小売市場モデルの構築に関する理論的・実証的研究
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16H03670
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
丸山 雅祥 神戸大学, 経営学研究科, 名誉教授 (60135928)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 商学 / アジア小売市場 / デジタル革命 / 市場文化 / 制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、市場を支える制度や文化の独自性を重んじて、日本、韓国、台湾、中国、ベトナムなどを対象に、小売市場の経済的・制度的・文化的要因についてケーススタディ・理論・実証の三位一体の方法論で取り組み、アジア地域の生活様式に即した「アジア小売市場モデルの構築」を目的とした研究に取り組んでいる。具体的には、(1) 市場を支える制度や市場文化の分析フレームの構築、(2) アジア諸国の消費者行動の分析、(3) アジア諸国の小売業態に関する分析、(4) アジア諸国の流通チャネルに関する分析、(5) アジア小売市場モデルの構築という5つの研究テーマを設定し、それぞれについての理論的・実証的研究を進めている。 今年度のそれぞれの研究実績は以下の通りである。 (1)に関しては、経済学、商学、マーケティング分野における内外の文献および基礎的な資料の収集とレビューを継続し、市場の分析枠組みの構築ならびにケーススタディのデザインの検討を行った。 (2)と(4)に関しては、食品のeコマース(EC)に焦点を当て、日本の食品スーパー各社によるスマート・リテイリングへの取り組み、中国・北京と上海におけるAlibaba.comやJD.comのオンラインとオフラインを融合する「新小売」(new retailing)、およびモバイル・コマースの進展と消費者行動の特徴に関する実態調査を行った。 (3)に関しては、食品小売業界における業種・業態の再編成の動向に焦点を当て、日本および台湾・台北における小売フォーマットの変革に関する実態調査を行った。(4)に関して、Switching CostとStaying Costを伴う状況における価格政策(既存顧客割引か新規顧客割引)に関する研究論文を査読付き国際学術誌から公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。 研究実績の概要で示したように具体的な研究テーマに関する研究をすすめ、研究成果の一部は査読付きの国際的学術誌から公刊することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
・研究テーマの(1)に関しては、基礎的な資料、文献の収集とレビューを継続するとともに、市場の理論的な分析枠組みについて書物の形で成果をとりまとめたい。 ・研究テーマ(2)と(4)については、食品のeコマース(EC)に焦点を当て、中国のAlibabaやJD.comによるオンラインとオフラインを融合する「新小売」(new retailing)や、日本のイオンやセブン&アイ・ホールディングスによるオムニチャネル戦略やIT小売業への変革をはじめ、アジア地域における生鮮ECの進展とネット通販の運営の現状、ならびにモバイル・コマースの進展と消費者行動の特徴に関するケーススタディを実施する。 ・研究テーマ(3)については、東アジア諸国における食品小売業界の変革と消費者行動に関するケーススタディを継続する。 ・研究テーマ(5)については、アジアの食文化や風土に根ざしたアジア市場モデルの構築にあたって、欧米諸国の食品小売業界との比較のため海外の食品小売業界の実態調査も行う予定である。 ・研究成果を書物や論文にまとめる。セミナーや国際学会にて研究に関する意見交換を行う。問題点を指摘された場合には、その指摘をもとに論文の改訂を行う。論文が完成次第、学術誌に投稿する。
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