2016 Fiscal Year Annual Research Report
社会的消費・質的高度化・消費主義の視点から見る21世紀消費社会の調査研究
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16H03701
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
間々田 孝夫 立教大学, 社会学部, 教授 (10143869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水原 俊博 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (10409542)
寺島 拓幸 文京学院大学, 人間学部, 准教授 (30515705)
藤岡 真之 弘前学院大学, 社会福祉学部, 准教授 (60405727)
廣瀬 毅士 駒澤大学, GMSラボラトリ, 研究員 (20571235)
鈴木 康治 第一工業大学, 工学部, 講師 (20434334)
本柳 亨 立正大学, 経営学部, 専任講師 (60506723)
三田 知実 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (20707004)
野尻 洋平 名古屋学院大学, 現代社会学部, 講師 (40713441)
畑山 要介 立教大学, 社会学部, 特別研究員(日本学術振興会) (70706655)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会学 / 消費文化 / 社会的消費 / リスク / 社会調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当初の研究計画に従い2016年9月から10月にかけて大規模質問紙調査(郵送調査)を実施した。本調査は標本調査であり、新宿40キロ圏内の日本在住の日本国籍で15歳以上69歳以下の男女を母集団として、住民基本台帳を用いた層化2段抽出法(確率比例系統抽出)によって個人を無作為に抽出した。標本計画規模は4,000件であり、そのうち有効発信数は3,894件、有効回収数は1,609件であり、回収率は41.3%であった。本調査では主に1.消費活動、2.日常生活における態度・意識、3.政治観・社会観、4.テレビ・インターネットの利用、 5.基本属性についての項目を設定し、それぞれを測定した。 また、本年度はデータの集計を行うとともに、消費態度に関する分析も進めた。分析では、ライフスタイル志向的な消費態度や品質志向的な消費態度が広く普及していることが明らかとなった。他方、消費社会の特徴として論じられてきたブランド志向的な消費態度や流行志向的な消費態度、また他者からの評判を気にするような消費態度は、必ずしも主流の傾向であるとは言えないことも明らかになった。また、性別や年齢、所得水準によって消費に対する考え方や行動にはっきりした相違が見られ、消費主義の多様化という今日的な現状を反映する結果が示された。 なお、次年度は、<社会的消費の動向>、<消費の質的高度化>、<消費主義の構造>の3つのサブテーマごとの分析を推進していく予定であり、本年度においてはそのための理論的・学説史的研究もサブユニットごとに実施された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画の通り、順調に研究課題が進展した。本年度の研究の中心は大規模質問紙調査の遂行であったが、調査設計、質問紙作成、標本抽出、質問紙の配布・回収、データ作成のいずれの段階においても、目立った問題は生じなかった。有効回収率も当初の目標であった40%を超え、分析に供する十分なデータを獲得することができた。このデータに関しては、本年度中に集計をおこない、その結果を公表することもできた。また、一部ではあるが、既に計量的な手法を用いた分析を加え始めており、その結果も論文において発表している。本年度の終盤には、次年度に予定されている分析段階に既に入り込んでおり、引き続き順調に研究が進展していくことが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は調査結果をもとにサブユニットごとの具体的な計量分析を進める。<社会的消費の動向>分析ユニットは、社会的消費が消費主義との関連を有するという仮説の検証を中心に、脱物質主義や政治意識、市民意識との関連も含めた多角的分析をおこなう。<消費の質的高度化>分析ユニットは、リスク回避消費が自己充足的側面を有するという仮説の検証を中心に分析を進め、質的高度化が機能的価値よりもむしろ文化的価値に支えられている側面を明らかにする。そして<消費主義の構造>分析ユニットは、消費主義を構成する諸要素が階層や年齢、性別といった社会的条件との関連を有するという仮説の検証を中心に分析を進め、同時に消費主義のより精緻な尺度化を試みる。 これらのユニットごとの分析に関しては、日本社会学会、経済社会学会、行動計量学会それぞれの大会での一般報告で発表する。また、発表の結果に基づき査読付き論文や学内紀要に投稿していくことを予定している。 さらに、平成30年度には、中国での調査の結果との国際比較分析、および過年度の国内調査との経年比較分析を実施する予定である。平成29年度は、これらの分析の準備も視野に入れながら研究をさらに前進させていく。
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Research Products
(3 results)