2017 Fiscal Year Annual Research Report
社会的消費・質的高度化・消費主義の視点から見る21世紀消費社会の調査研究
Project/Area Number |
16H03701
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
間々田 孝夫 立教大学, 名誉教授, 名誉教授 (10143869)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水原 俊博 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (10409542)
藤岡 真之 弘前学院大学, 社会福祉学部, 准教授 (60405727)
寺島 拓幸 文京学院大学, 人間学部, 准教授 (30515705)
廣瀬 毅士 駒澤大学, 付置研究所, 研究員 (20571235)
鈴木 康治 第一工業大学, 工学部, 講師 (20434334)
本柳 亨 立正大学, 経営学部, 専任講師 (60506723)
三田 知実 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (20707004)
野尻 洋平 名古屋学院大学, 現代社会学部, 講師 (40713441)
畑山 要介 立教大学, 社会学部, 特別研究員(日本学術振興会) (70706655)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 社会学 / 消費文化 / 社会的消費 / リスク / 社会調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、2016年度に実施した東京圏の消費生活調査のデータを分析し、国内学会においてその成果発表を行なった。本研究は以下の3つによって構成されており、それぞれにおいて分析が進められた。 1「〈社会的消費の動向〉分析ユニット」:環境や社会に配慮したタイプの消費行動に関しては、2010年調査と比べてほとんど伸びていないが、一方で品質やライフスタイルなどへの志向ははっきりと現れていることが明らかとなった。また、シェアリング・エコノミーは様々な物事を先取りしようとする初期採用者に高く注目されていることが明らかとなった。なお、初期採用者以外においては、物質主義的な消費態度を持つ人ほどシェアリング・エコノミーの利用意向が高いという傾向も明らかとなった。 2「〈消費の質的高度化〉分析ユニット」:近年では犯罪や災害、健康被害といったリスクを考慮した抗リスク消費が広く普及しつつある。なかでも防犯消費に関しては、所得や学歴の高い人ほど積極的であることが明らかとなった。また、健康消費に関しては、自己愛意識が高い人ほど積極的であるということが明らかになった。 3「〈消費主義の構造〉分析ユニット 」:今日では、他者とのつながりを求める社会関係志向的な消費態度が広く見られることが明らかとなった。また、この社会関係志向的な消費態度が高い人ほど主観的幸福感が高いということも明らかとなった。さらに、SNSの利用頻度が高い人ほど他者の目を気にする消費態度を有しており、特にInstagramの利用者にはその傾向が強いということも明らかとなった。 以上の分析結果は、2010年代における消費文化の展開を知る上できわめて重要な意義を有していると言える。これら分析結果に基づく論文執筆も進んでおり、今後においては順次公表されていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度は、当初の研究計画通りにデータの分析を進めた。研究分担者・研究協力者の緊密な連携もあり、膨大なデータを迅速に分析することができた。まだ分析が必要なデータも残されているため、今後も引き続き連携を高めながら分析をおこなっていくこととする。また、研究成果の公表も順調であり、速報性の高い結果については既に日本社会学会、経済社会学会、行動計量学会などにおいて発表している。また、査読論文への投稿も進んでおり、着々と学術的成果を蓄積しつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後においても、引き続きデータ分析および研究成果の発表を進めていく。2018年度においては、さらなる推進のために具体的に3つの方策を用意している。 (1)過去調査のデータを利用した経年比較分析:本研究で実施された調査は、2010年に実施された調査の継続調査として位置付けられている。2010年から2016年の間の変化の推移を捉えることで、より奥域のある分析をおこなっていく。 (2)国際研究と連携した日中比較分析:基盤研究(C)「『第三の消費文化』パラダイムに基づいた中国消費社会の実証研究」(研究代表者:廣瀬毅士)と連携することで中国の消費社会と日本の消費社会の比較分析を行い、より立体的に現代消費社会の実相を把握していく。 (3)シンポジウムを通じたアウトリーチ:研究者および一般市民を対象としたシンポジウムを企画しており、研究成果を広く社会に還元することを目指していく。 またこれらに加えて、研究成果報告書の編集の準備も進めている。以上の推進方策を通じて、水準の一層高いデータ分析と成果公表を進めていく。
|
Research Products
(18 results)