2016 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャルワーク・ケアマネジメントの独自性とその評価に関する研究
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16H03712
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
白澤 政和 桜美林大学, 自然科学系, 教授 (20094477)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ソーシャルワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,介護支援専門員は多様な基礎資格者(介護福祉士,社会福祉士,精神保健福祉士等の福祉系の専門職,看護師,PT,OT,ST等の医療系の専門職)からなり,一般に医療系の専門職は身体面,福祉系の専門職については心理社会面について把握や支援に結びやすいとされているが,基礎資格によりソーシャルワークの特徴をどの程度実施し,どの程度重要視しているかを明らかにすることを目的としている。 介護支援専門員の基礎資格等の相違によるケアマネジメントの違いを明らかにするため,全国の居宅介護支援事業所管理者に依頼し,常勤・専任の介護支援専門員に対して調査を依頼する。標本数は3500とし,厚生労働省のホームページの「介護事業所・生活関連情報検索」に掲載されている,2016年10月末日現在で全国の居宅介護支援事業所からランダムで抽出する。抽出された事業所の管理者宛に調査依頼文を同封し,常勤・専任の介護支援専門員で,氏名が50音順で最も早い介護支援専門員1名に対して調査を依頼してもらった。調査の対象になった介護支援専門員に対しては,同封してある介護支援専門員宛の調査依頼文で調査への協力を依頼し,調査票に回答してもらい,返信用封筒で返却してもらった。2017年1月13日に調査票を郵送し,2月28日を最終到着日として,回収を行った。送付した調査票3,500票に対して,宛先不明等で89票が未着となり,到着した調査票3411票に対して,1,725票の回答を得た。その結果,有効回収率は50.57%となった。現在、その結果を分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査結果の単純集計では、専門職としてのアイデンティティについて回答を求めた結果は、福祉職を選択した人が790名(45.8%)と最も多く、次いで介護職が615名(35.7%)、看護職217名(12.6%)、リハビリテーション職27名(1.6%)となっていた。そのため、これをもとに、ソーシャルワーク・ケアマネジメントの実践度と重要度の意識の相違を明らかにする基盤ができた。 なお、結果の一部である、介護支援専門員は管理者とケアプラン作成についてのコンフリクトに関する結果では以下のようになった。 コンフリクトがある(「よくある」+「時々ある」)介護支援専門員の割合は4分の1であり、さらにコンフリクトがある者の内で、コンフリクトの解決方法を管理者の意向に合わせるが3分の2、介護支援専門員自身の意向に合わせるが3分の1となった。次にコンフリクトの有無およびコンフリクトの解決方法の違いを目的変数にし、介護支援専門員の機関属性4項目を、また介護支援専門員の属性8項目を説明変数にして、2項ロジスチック回帰分析を行った。その結果、コンフリクトの有無については、機関属性で介護サービスを実施していない独立型機関とケアマネジャーの人数が少ない機関で、コンフリクトが少ないことが分かった。ケアマネジャーの属性については、男性、低年齢層、主任ケアマネジャー資格取得者で、コンフリクトが少なくなった。一方、コンフリクトの解決方法については、機関属性については独立型でケアマネジャー自身の意向に合わせることが有意に高く、ケアマネジャー属性については有意な差がある項目はなかった。 以上の結果、コンフリクトの有無にも、コンフリクトの解決方法にも、専門職のアイデンティティとしての福祉職が影響していないことが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
介護支援専門員に対する調査で回答が得られたの1725人の利用者1名に対して郵送調査を実施する。研究の手順は以下の通りである。 1年次に作成したケアマネジメントの目的、過程、ソーシャルワーク・ケアマネジメントの6つの特徴を尺度化した調査項目を、利用者なり家族を対象に、被実施度と満足度について5件法で調査票の設計を行う。調査対象者は、1年次に回答を得て調査協力の了解を得ている介護支援専門員に対して、1名の利用者なり家族を調査協力者に依頼してもらう。 調査票は1年次に了解を得た居宅介護支援サービス事業者の介護支援専門員宛に送付し、利用者に依頼してもらう。調査票の回答は利用者本人または家族に回答してもらうことにする。調査票は介護支援専門員が関わることなく、記述してくれるよう依頼する。回収した調査票については、介護支援専門員の調査票とマッチングさせ、データ入力をする。データ入力については守秘義務等の契約をもとに業者委託とする。 調査分析については、利用者のケアマネジメントの目的、過程、ソーシャル・ケアマネジメントの特徴について、ケアマネジャーが社会福祉士と他の基礎資格では、被実施状況と満足状識の相違について分析する。具体的には、ケアマネジメントの目的、過程、ソーシャルワーク・ケアマネジメントの特性の8領域について、被実施度と満足度の結果を、社会福祉士かどうかを従属変数としたロジスティック回帰分析を行う。同時に、8領域について因子分析を行い、各因子について、社会福祉士かどうかの基礎資格についてT検定・一元配置分散分析を行い、有意差を明らかにする。 さらに、1年次のケアマネジメントの目的、過程、ソーシャルワーク・ケアマネジメントの6つの特徴について、介護支援専門員の実施度・重要度と利用者の被実施度・満足度の関係について、福祉職と他の職種のケアマネジャーとの違いを明らかにする。
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