2016 Fiscal Year Annual Research Report
認知行動療法の質保証に向けたコア・コンピテンスの解明と教育研修プログラムの精緻化
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16H03742
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鈴木 伸一 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00326414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小関 俊祐 桜美林大学, 心理・教育学系, 講師 (30583174)
伊藤 大輔 琉球大学, 教育学部, 准教授 (20631089)
武井 優子 宮崎大学, 医学部, その他 (00727886)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 認知行動療法 / コンピテンス / 教育研修 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,わが国における認知行動療法の質保証及び均てん化と,それを担保する養成プログラムの最適化を図るために,認知行動療法の実践家に必要とされるコア・コンピテンスを解明するとともに,コア・コンピテンスを育成するための教育研修内容を検討することである.この目的を達成するために,平成28年度は,日英における認知行動療法の教育研修内容の質的分析を行い,教育研修項目の抽出・分類・整理を行った. まず,英国で進められているCBTセラピストを養成するための国家プロジェクト(Improving Access to Psychological Therapies:以下,IAPT)において,CBTセラピストのコンピテンス評価に使用されているリスト(IAPT Program, 2007)について質的分析を行った.その結果,包括的なセラピーのコンピテンスは9つの大項目と35の小項目,基本的なCBTコンピテンスは14の大項目と26の小項目,基本的な行動療法,認知療法の技法は14の大項目と24の小項目,メタコンピテンスは8つの大項目と9つの小項目に集約された. 次に,IAPTのCBT養成コース(Hi-intensityコース)の基準を満たす教育内容を提供している大学の27研究科すべてを対象に,各機関で実施されているCBTに関する教育内容を収集し,教育内容項目について質的分析を行った.その結果,全468項目が収集され,最終的な分析の結果,CBTの基礎に関する教育内容21項目,うつ病に対するCBTに関する教育内容21項目,不安症に対するCBTに関する教育内容20項目が抽出された. 今後は,これらの項目をもとに評価表を作成し,日英の現状を把握するための調査を実施する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料収集および分析作業等が順調に推移し,計画を順調に達成することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度および平成30年度に関しては,当初の計画では,日英共同研究として,英国と日本の臨床心理系大学院生を対象とした調査を実施する計画となっていたが,英国の共同研究の主管大学(University of East Anglia)における事情により,英国の大学院生を対象とした調査は実施が難しい状況となった. これを補完する代替策として,英国の臨床心理学大学院で指導にあたっている教員に,同様の内容のヒアリングを行い,当初収集する予定であった英国における臨床心理学に関する教育内容とその成果としてのコンピテンスに関する英国の標準的な内容とレベルを評価してもらうこととする.なお,日本の大学院生を対象に行う予定としていた調査は,予定通り実施する.この代替策により,臨床心理学に関する教育内容とその成果としてのコンピテンスについての実質的な日英比較は可能であり,研究計画全体の趣旨と意義が大きく損なわれるものではないと考えられる.
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Research Products
(1 results)