2017 Fiscal Year Annual Research Report
行動発現に内在する眼球運動と関連した視覚処理機構の解明
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16H03748
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松宮 一道 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (90395103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩入 諭 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (70226091)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 眼球運動計測 / 視覚と行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、手の運動発現に内在する眼球運動と関連した視覚処理の機序解明を目標としている。我々は動くものを見るとき、対象物を正確に捉えるために、運動対象を追跡する追従眼球運動を行う。 このとき、眼だけで追跡を行うのではなく、手の動きを伴わせることで、追跡中の眼球運動に占める追従眼球運動の割合が増加することが知られている。しかし、このようなパフォーマンスの変化 がどのような条件下で起こるのかはまだ分かっていなかった。追従眼球運動の増加は、より効率的で正確な情報の提示や、それを考慮したヒューマンインターフェースの設計につながる。こういった観点から、追従眼球運動の性質や仕組みを明らかにすることは重要である。本年度は,視覚刺激が無い状態での追従眼球運動の生起、およびそういった眼球運動がどのような信号を用いて行われているかについて調査した。その結果、手の動きと視線の動きの方向が一致しているときに、追従眼球運動が増加することが明らかになった。 また、サッカード眼球運動前後の視覚信号がどのように視野統合されるのかを調べるために、サッカード抑制が生じている期間にターゲットを一時的に消失させると変位検出能力が改善するブランク効果と呼ばれる現象を利用して、サッカード前と後の刺激の輝度コントラストを独立に変化させたときのブランク効果の強度を測定した。その結果、サッカード前の刺激輝度コントラストがサッカード後の刺激輝度コントラストよりもブランキング効果に大きく影響することがわかった。これより、サッカード前の刺激の位置情報の保持が、サッカード前後の情報統合に重要な役割を果たすことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は, 当初の予定通り, 新規に力覚提示装置を導入し、眼球運動測定装置と併用する実験環境を開発した. 手の運動との関連を調べる実験に着手することができた。さらに、手の動きに伴って眼球運動のデータをより詳細に分析する解析ツールの作成も終わったため、来年度は手に関する情報を、体性感覚情報だけでなく、視覚情報も考慮し、眼球運動データを多角的に分析することで、手の行動発現に内在する眼球運動の制御機構を明らかにすることを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
手の動きに伴って眼球運動のデータをより詳細に分析する解析ツールの作成が終わり、手の動きと眼球運動の関連について、過去の研究結果も、新規に設置した実験装置で再現できることを確認し、本研究で計画している実験も着実に進み、データが集まりつつある。今後は、論文の執筆も視野に入れて、研究を進めていく予定である。
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