2016 Fiscal Year Annual Research Report
ベイズ理論を用いた視聴覚統合の脳ネットワーク機序の解明
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16H03749
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
四本 裕子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80580927)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ベイズ / 知覚 / 経験 |
Outline of Annual Research Achievements |
聴覚、視覚のモダリティそれぞれにおいて、過去の経験が現在の知覚に及ぼす効果を測定した。聴覚では、音声に含まれる音の高さの微妙な違いが、その音声知覚に大きく影響することを定量的に測定し、これまで聞いてきた音声の知覚と、それをフィルタによって変更した音声の知覚を測定した。これまでの経験で聞き慣れた音声からの違いとその結果感じられる違和感をプロットした結果、非常に個人差が大きいことを見出した。現在、この個人差の大きさとその理由について検証中である。
さらに、音刺激に含まれるノイズの量をパラメトリックに変化させ、音刺激の長さの知覚が変容する様子を測定するとともに、ノイズの影響が音刺激の知覚に比較的長期にわたって影響を及ぼすことを見出した。視覚では、視覚刺激に重ねたノイズの量をパラメトリックに変化させた場合の知覚を測定し、聴覚ドメインにおけるノイズの効果と比較した。その結果、視覚と聴覚では、ノイズが知覚に及ぼす効果や、その効果が影響する時間などが異なることを見出した。また、ノイズを重ねた視覚刺激とノイズを重ねた聴覚刺激を同じタイミングで提示した場合、その長さの知覚にはノイズの影響が乗らないことを見出した。この結果は、視覚、聴覚という単一のモダリティ内ではベイズ的な知覚が実現されている一方で、その統合には単なる線形加算ではない処理が関連していることを意味している。
さらに、経頭蓋電気刺激を用いて視覚皮質を刺激し、その刺激が、脳内ネットワークのコネクティビティに及ぼす効果を測定するとともに、MRI/fMRIを用いた脳機能計測により、過去に受けたホルモンが、現在の脳内のネットワークに及ぼす効果を検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた、時間課題における視聴覚統合、空間課題における視聴覚行動の検証が順調に進んでおり、論文を執筆できる段階となっている。また、それらのデータを用いたモデル構築やシミュレーションを始めている。さらに、脳機能計測と脳構造計測による、機能的・構造的コネクティビティの測定と解析は終了し、論文投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
音声知覚の行動実験の結果を元に、音声知覚時の脳活動を測定し、経験が知覚に及ぼす効果を定量的にあらわすモデルを構築する。また、脳全体のネットワークの活動とその変化に注目し、頭蓋外側から電流で脳の一部へ与えられた刺激が、その後、脳のネットワークにいかなる影響を及ぼすかを検証することにより、脳内ネットワークの時系列的な効果の伝播について研究を進める。
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[Presentation] 周期的に変動する知覚時間.2016
Author(s)
島周平, 村井祐基, 湯淺健一, 橋本侑樹, 四本裕子.
Organizer
日本視覚学会
Place of Presentation
新潟コンベンションセンター(新潟県・新潟市)
Year and Date
2016-08-17 – 2016-08-19
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