2016 Fiscal Year Annual Research Report
歴史を探究する能力の育成を目指す日本とドイツの教員研修プログラムの比較研究
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16H03806
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
村瀬 正幸 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (90641572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二井 正浩 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター基礎研究部, 総括研究官 (20353378)
宇都宮 明子 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (40611546)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ドイツ / 歴史教育 / 教員研修 / 探究 |
Outline of Annual Research Achievements |
資質・能力ベースの教育課程の編成原理は、「学び続ける教員像」の理念を実現するための新たな教員研修プログラムの開発を求めている。この研究では、レアプラン(学習指導要領)を2016年に改訂し資質・能力ベースの教育課程の改革をすでに進めているバーデンヴュルテンベルク州(ドイツ)の関係諸機関の実地調査を行い、歴史を探究する能力の育成に着目した、教員研修の在り方を検討することを目的にしている。研究1年目の本年度は、①州政府管区教育局を訪問調査して教育政策担当者と懇談し教員養成研修と教員研修の仕組みについて把握、②教員養成研修所と教員研修所を訪問して研修事業担当者と懇談し新しい教育課程の編成原理とそれを担保する研修カリキュラムの内容を把握、③両研修事業に参観し受講生の視点で研修カリキュラムなどを把握できた。10月と3月の実地調査により明らかにできた諸点は、次の通りである。①2016年の改訂レアプランにおいては、評価指標を明確にして、歴史を探究する能力開発の指標を学習到達度別に示し、能力開発のために必要な手立てを明確にしていること、②それらを州政府管区教育局指名の教科指導員を通して現場に浸透させる仕組みを作っていること、③現場の授業改善を進めるための教員研修の講師は、教育現場の教師であるレアプラン作成協力者が中心となり進め、それは対話的な手法で行われていること、④そのような改革を教員養成研修と一体的に進めるための機関として州政府管区教育局が位置付けられていること、⑤歴史のリテラシーを習得させるための歴史資料(記念碑など)の活用に関する研修内容を充実させていること、などである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究1年目に当たる本年度は、バーデンヴュルテンベルク州(ドイツ)の新レアプラン(学習指導要領)の改訂状況にかかる州政府管区教育局、教員養成研修所及び教員研修所の担当者への面談調査を行い、引き続き、管区教育局指名の歴史系教科指導員による歴史授業への参観、州政府教員養成所における教員養成研修事業への参観、州政府教員研修所による現職教員研修事業への参観を行った。前掲機関を中心にして、州政府により養成と研修の一体的な教育改革が進められており、それら事業に直接参加し、新レアプランの趣旨やその実現に伴う政策上の課題なども把握することができた。研究は概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
3月の実地調査の過程で入手した資料の翻訳や整理を行うこと、探究する歴史授業で活用できる歴史資料(「歴史と記憶」に関わる記念碑などの画像資料、ホロコースト関係の諸資料など)を収集すること、国内の研修機関への実地調査を引き続き行い、効果的な研修事業についてまとめ、歴史を探究する能力の開発を目指す研修モデルの試案をつくることを計画している。
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