2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H03826
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺西 利治 京都大学, 化学研究所, 教授 (50262598)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ナノ材料 / 金属化合物 / 合金 / 電子構造 / 触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、低周期dブロック金属として同族のニッケル(Ni)およびパラジウム(Pd)を用い、電気陰性度の近いpブロック元素リン(P)との化合物ナノ粒子合成について検討した。パラジウム-リン(Pd-P)ナノ粒子は、Pd 前駆体とP 前駆体を窒素雰囲気下で加熱することで合成し、3 ~ 50 nm の範囲での粒径精密制御が可能であった。粉末X線回折 および制限視野電子線回折の結果から合成されたPd-P ナノ粒子は非晶質であり、X線光電子分光からPd-Pナノ粒子中のPdとPは共に0 価の状態であることが明らかとなった。また、DFT 計算によってフェルミ準位近傍の状態密度を導出した結果、Pd-P が金属的な電子構造を有していることが示された。以上の結果から、得られたPd-P ナノ粒子は非晶質合金であると結論付けられた。Ni-Pナノ粒子も同様に合成可能であった。 次に、Pd-P非晶質合金ナノ粒子と各種金属前駆体を所定条件で反応させることによって、Pd-P中のPと金属前駆体中の金属イオンとの間でガルバニック置換が進行し、Pd-Pナノ粒子の単分散性を概ね保持したPd基合金ナノ粒子が生成した。様々な金属前駆体を検討した結果、酸化還元電位が約3.3 V(vs. vacuum)よりも貴な金属とPd が合金化することが明らかとなり、Pd3Sn2、A1-CoPd3、B2-PdIn、B2-PdCd、A1-FePd3、L10-ZnPd 及びA1-MnPd3のPd 基合金ナノ粒子の合成に成功した。加えて、本反応は反応前後においてナノ粒子の形態が保持される仮晶反応であり、中空構造の様な複雑な形態であっても反応前後で保持されることを併せて確認した。以上の検討により、本手法がPd 基合金ナノ粒子の粒径、形態、組成の任意制御を可能とする極めて汎用性の高い合成手法であることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い、第4周期遷移金属(Ni)および第5周期遷移金属(Pd)がpブロック元素(P)と共有結合した金属化合物の合成に成功し、その電子構造変調を達成するとともに、P選択的ガルバニック置換反応により、これまで得ることのできなかった一連のPd 基合金ナノ粒子の合成に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Ni、Pd以外の低周期dブロック金属とP以外のpブロック元素からなる金属化合物ナノ粒子の合成を行い、定常的・連続的に電子構造を変調できるかどうかを検討する。また、金属化合物ナノ粒子および合金ナノ粒子の新規な物理的・化学的性質を明らかにし、電子構造との相関について検討する。
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Research Products
(7 results)