2016 Fiscal Year Annual Research Report
しなやかでウェットな半立体マイクロ構造体の露光作製及び新規バイオチップへの応用
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16H03845
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
須丸 公雄 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 創薬基盤研究部門, 上級主任研究員 (40344436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 俊之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 創薬基盤研究部門, 主任研究員 (10248065)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 光応答性ポリマー材料 / ハイドロゲル / フォトリソグラフィ / 半立体構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
Hydroxypropyl celluloseを酸触媒架橋する架橋剤として、既に半立体構造形成が確認されていた1,3,4,6-tetrakis (methoxymethyl)glycolurilに加え、両末端にカルボキシル基を有するPEGを用いて架橋できる条件を見出した。これらプレゲル層に対し、紫外光応答可視光不応答の光酸発生剤(PAG)として、ナフチルイミド型の非晶性低分子材料を用いて、数10μm程度の分解能で局所架橋できることを明らかにした。 また、poly(N-isopropylacrylamide)をo-nitrobenzaldehyde(NBA)基で修飾することにより、光照射に応答して固体状態から速やかに水溶化する新規ポリマーを開発(特許出願)、このポリマー層を介して基材表面に固定化・接着した微粒子や細胞が、局所光照射によって基材表面から選択的にリリースできることを実証した。さらに、このポリマー層を介して架橋HPC層を表面に担持させた基材を作製、中性のリン酸緩衝水溶液や細胞培養用培地中で局所光照射することにより、その箇所をオンデマンドに光剥離できることを実証、新しいタイプの光駆動アクチュエータへの展開を示唆する知見を得た。 一方、可視光応答PAGで修飾されたpoly(methyl methacrylate)(pPAGMMA)の光溶解によって架橋ゲル層の剥離を誘起する系について、浸漬するエタノール/水混合溶媒の混合比率と剥離速度の関係を解析、純粋なエタノールや水中では光剥離しないこと、エタノール含有率80%で最も素早く剥離することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プレゲル層を酸触媒架橋できるさらなる条件が見出され、構成要素のラインナップが加わり、予定通り順調に進捗している。また、モノマーの重合が進行せず、開発が難航していたNBA修飾ポリマーの合成に成功、培地を含む幅広いpH環境で、非常に鋭敏な光応答水溶化を示すことが明らかになり、このポリマー薄層上で培養された細胞が、局所光照射によって個別選択的に剥離回収できること、こうした回収操作が細胞のviabilityが損なわれないことを実証した。これにより、当初想定していない幅広い用途への展開が強く示唆されるに至った。 一方、研究計画の中核に位置付けていた、pPAGMMA薄層によってプレゲル層の架橋と架橋ゲル層の剥離の両方を光で誘起する系について、架橋を誘起する最初の光照射が、光剥離プロセスにおいても少なからず影響を与えることが判明、その低減が難航している。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに見出された光応答ポリマーに関しては、際立った光誘起水溶化特性を示すことが明らかになったことを受け、当初想定していた半立体構造形成や光駆動アクチュエータに加え、細胞操作や細胞培養系構築を含む幅広い用途に関する検討を進める。 一方、プレゲル層の架橋と架橋ゲル層の剥離の両方を光で誘起する手法は、架橋域の下にある光応答ポリマー層が、架橋プロセスで一定の光照射を受けることは原理的に避けられない。そこで、形成される構造体の安定化を図るべく、途中に現像工程を挟む新しい作製スキームについても、併せて検討を進める。
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