2016 Fiscal Year Annual Research Report
トポロジカル電子状態に基づく新世代デバイス技術の創出
Project/Area Number |
16H03847
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
笹川 崇男 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (30332597)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | トポロジカル絶縁体 / トポロジカル超伝導体 / トポロジカル半金属 / 新物質探索 / 新機能探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、スピントロニクスや量子計算など次世代エレクロトニクス用材料として期待されるトポロジカル電子物質について、新物質開発および新奇なトポロジカル量子現象や機能の探索に取り組んだ。 (成果1)巨大磁気抵抗を示す非磁性半金属物質の開拓:非磁性物質にもかかわらず巨大磁気抵抗効果を示す物質を、トポロジカル半金属を中心に探索したところ、InBiなど数種類を発見した。磁気抵抗は磁場の二乗に比例し、結晶の純良さの指標となる残留抵抗比(RRR)が大きいほど大きな変化を示すことも明らかにした。 (成果2)トポロジカル超伝導体候補物質の開拓:トポロジカル超伝導体では、未発見の準粒子(マヨラナフェルミオン)の発生が理論予言されており、これを利用することで新原理の量子計算ができると言われている。超伝導になる半金属の中でトポロジカルな表面状態をもつ物質を探すというアプローチから、実験的実証に適した物質の探索を行った。トポロジカル超伝導の可能性を更に高めるトリプレットクーパー対の形成が期待される「空間反転対称性の破れ」にも着目することで、PbTaSe2を有力候補物質として発見した。 (成果3)トポロジカル絶縁体表面スピンの磁場応答の解明:スピン偏極したトポロジカル表面電子の状態を磁場で制御する場合、それらが示す磁気的相互作用の理解が欠かせない。今回、走査トンネル顕微鏡・分光法を活用し、磁場中のランダウ量子化現象を詳細に測定・解析することにより、トポロジカル表面電子のゼーマン効果とg因子(角運動量と磁気モーメントの比例係数)を定量化することに初めて成功した。同じ結晶構造で組成の異なるBi2Se3とSb2Te2Se2における観測から、g因子に顕著な物質依存性があることを発見した。これは、組成でトポロジカル表面電子状態の磁気応答を物質設計できる可能性を示すものとしても有用である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、トポロジカルな電子状態をもつ新しい物質、現象、機能の創出を目指している。成果を得るには発見的な要素が強く、挑戦的な課題であると予想されたが、トポロジカルな電子状態をもつ絶縁体から、半金属、超伝導までの幅広く異なる方向性において3つの大きな成果を得ることができたことは、計画以上の進展であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
①非磁性であるにも関わらず異常に大きな磁気抵抗効果を示す物質、②トポロジカルに保護された表面電子状態をもつ半金属で超伝導を示す物質、③空間反転対称性の破れた結晶構造をもち超伝導を示す物質などを、理論計算科学的な物質探索と、合成・単結晶化に続く精密物性評価による実験的実証という流れで見出すことに成功した。これら成果の出始めている物質については、電子状態の解明に向けた実験に取り組む、特に14テスラと0.3ケルビン、3万気圧という複合極限条件での物性測定が行える環境が整ったので、磁場下輸送特性の量子化現象(Shubnikov-de Haas振動)を角度依存性も含めて詳細に測定・解析することにより、フェルミ面などの電子構造を明らかにすることを進める。 一方で、更に新しいトポロジカル電子物質の開発も平行して進める。特に、特定の結晶面にしかトポロジカルな表面電子状態の現れない「弱いトポロジカル絶縁体」や、バルクで質量ゼロの電子状態をもつ「3次元ディラック半金属」、更にそのスピン縮退が解けた「ワイル半金属」、そしてそれらと超伝導が共存する「トポロジカル超伝導体」の開発などを目指す。
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Research Products
(63 results)
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[Journal Article] Nonequilibrium Lattice-driven Dynamics of Stripes in Nickelates using Time-resolved X-ray Scattering2017
Author(s)
W. S. Lee, Y. F. Kung, B. Moritz, G. Coslovich, R. A. Kaindl, Y. D. Chuang, R. G. Moore, D. H. Lu, P. S. Kirchmann, J. S. Robinson, M. P. Minitti, G. Dakovski, W. F. Schlotter, J. J. Turner, S. Gerber, T. Sasagawa, Z. Hussain, Z. X. Shen, and T. P. Devereaux
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Journal Title
Phys. Rev. B
Volume: 95
Pages: 121105/1-5
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Bandgap Modulation in Photoexicited Topological Insulator Bi2Te3 via Atomic Displacements2016
Author(s)
M. Hada, K. Norimatsu, S. Tanaka, S. Keskin, T. Tsuruta, K. Igarashi, T. Ishikawa, Y. Kayanuma, R. J. D. Miller, K. Onda, T. Sasagawa, S. Koshihara, and K. G. Nakamura
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Journal Title
J. Chem. Phys.
Volume: 145
Pages: 024504
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Topological Ladders in Transition-Metal Dichalcogenides2017
Author(s)
O. J. Clark, M. S. Bahramy, J. Feng, L. Bawden, J. M. Riley, V. Sunko, I. Markovic, F. Mazzola, D. Biswas, K. Okawa, T. Sasagawa, G. Balakrishnan, T. Eknapakul, W. Meevasana, P. D. C. King
Organizer
American Physical Society March Meeting 2017
Place of Presentation
New Orleans, USA
Year and Date
2017-03-13 – 2017-03-17
Int'l Joint Research
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[Presentation] Anisotropic electronic structure of ReS22017
Author(s)
D. Biswas, J. M. Riley, L. Bawden, O. J. Clark, L. Collins-Mcintyre, J. Feng, W. Meevasana, R. Yano, T. Sasagawa, A. Ganose, D. O. Scanlon, P. D. C. King
Organizer
American Physical Society March Meeting 2017
Place of Presentation
New Orleans, USA
Year and Date
2017-03-13 – 2017-03-17
Int'l Joint Research
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