2017 Fiscal Year Annual Research Report
軽元素標的型ラボラトリー逆光電子ホログラフィー装置開発と先端機能材料への応用
Project/Area Number |
16H03849
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
林 好一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20283632)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 耕治 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20772875)
廣瀬 靖 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (50399557)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 逆光電子ホログラフィー / 局所構造 / 3D原子イメージング / 酸窒化物 / 軽元素 |
Outline of Annual Research Achievements |
SrTiO3 基板上に製膜したSrTaO2N薄膜に逆光電子ホログラフィーを適用した。電子線のエネルギーには 2.5 keV の電子線を用いた。角度あたりの測定時間は 15s であり、検出器の分解能は本測定装置の最小分解能である 5eV/ch の分解能を用いた。また、ガウシアンフィッティングによって得られた窒素と酸素の強度データをピクセル毎にプロットし、窒素と酸素のホログラムパターンを求めた。両者のホログラムパターンは大きく異なり、窒素と酸素の局所構造に大きな違いがあることが判明した。窒素のホログラムパターンはその振幅が大きく、菊池線も明瞭に観測されていた。このため、窒素の原子位置は本来の結晶サイトに存在すると考えられる。一方、酸素のホログラムパターンは振幅が小さく、前方散乱ピークや菊池線はかなり不明瞭であった。このため、窒素とは大きく異なり、酸素位置は結晶サイトから大きくずれていると考えられる。このような実験結果に対して、第一原理計算によって得られたトランス型とシス型の原子配列を用い、ホログラムの計算を行った。得られたホログラムパターンは、シス型よりもトランス型に近いことが分かった。これは、トランス型は窒素が直線的に配列し、原子位置が変化しないのに対し、酸素は窒素の直線軸を中心に面内方向に回転するためである。一方、シス型は、窒素も酸素も基本的にランダムに近い配置を持つために、両元素のホログラムパターンは似たようなものになる。しかしながら、この逆光電子ホログラフィーの結果は、シス型が支配的であるという電子顕微鏡やX線吸収分光の結果とは異なっていた。このため、窒素と酸素のコンフィグレーションについては、今後、より深い検討が必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験・データ解析については,予定通り順調に進んでいる.また,関連の論文も掲載された.
|
Strategy for Future Research Activity |
SrTaO2Nのホログラム測定から窒素と酸素の局所構造に大きな違いがあることが分かったが、シス型を支持する従来の結果とは異なることが分かった。このため、新たなモデルの構築を第一原理計算も用いて進めることとする。一方、エネルギー政策に重要なパワー半導体開発においては、SiC等を用いたダイオードやトランジスタの開発が積極的に進められている。パワー半導体材料の有力候補の一つとしてはGaNが有望視されており、電気物性を制御するためにAlを添加した薄膜の開発の開発も急ピッチで進んでいる。ここでは、AlGaNにおけるAlやGa、Nのホログラムを測定し、その周辺の原子像再生を試みる。これらの原子像を詳細に解析することにより、添加元素であるAlの三次元局所構造を決定する。
|
Research Products
(6 results)