2017 Fiscal Year Annual Research Report
Novel molecular layer epitaxy on a step-free III-nitride surface
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16H03862
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
赤坂 哲也 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 主任研究員 (90393735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊倉 一英 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 特別研究員 (00393736)
後藤 秀樹 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主席研究員 (10393795)
西中 淳一 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 研究員 (40774625)
鈴木 恭一 福岡工業大学, 工学部, 准教授 (20393770)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 結晶成長 / 半導体物性 / 量子井戸 / 光デバイス / 電子デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1分子層の段差も存在しない窒化物半導体step-free表面を土台にして、表面過飽和度の高い条件で窒化物半導体の2次元核を形成した後に、表面過飽和度が低い条件で2次元核を横方向成長および合体させて1分子層の成長を行う工程を交互に繰り返す分子層エピタキシ(MLE)を開発することである。さらに、このMLEにより、1分子層の段差もない理想的なヘテロ構造(step-free InN量子井戸やAlGaN/GaN系ヘテロ構造)を作製し、InNの発光機構やGaNの2次元電子ガスのキャリア輸送特性を解明する。step-free InN量子井戸を発光層とする緑・赤色LEDやAlN/GaN系共鳴トンネルダイオードを作製し、理想的なstep-freeヘテロ界面を有する光素子や電子素子の動作評価を行うことを目標とする。 今年度は、窒素極性(000-1)GaN/InN/GaNダブルヘテロ構造のMOVPEによる成長、および、構造最適化を行った。GaNキャップ層の成長温度をInN成長時よりも下げることにより、GaNキャップ層成長中のInN層の熱分解や結晶欠陥の発生を抑えることができ、その結果、急峻な界面と高効率のPL発光を有するダブルヘテロ構造を得ることに成功した。この成果は、2017年応用物理学会秋季学術講演会で発表し、査読付英語学術論文誌に投稿中である。また、AlGaN/AlN/GaNヘテロ構造をMOVPE法で成長した後、ゲート電極をも有する微小な六端子ホールバーを形成し、極低温における二次元電子ガスの輸送特性について測定・評価を行った。0.25Kの極低温から室温までの測定温度範囲全領域にわたって、ゲート電圧により二次元電子濃度を制御することができた。極低温においては、ランダウ準位量子化現象を明確に観察することができた。この成果は、現在査読付英語学術論文誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一般的に、窒化物半導体の中でも、InNの結晶成長は難しいことが知られているが、本研究においても高い発光効率を有するInN高品質結晶の作製に想定以上の時間がかかった。しかしながら、昨年度までに、高いPL発光効率と原子レベルで急峻なヘテロ界面とを有するGaN/InN/GaNダブルヘテロ構造の作製に成功した。また、AlGaN/AlN/GaNヘテロ構造の極低温における電子輸送特性の評価も実現している。今後さらなる成果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
step-free GaN表面を土台として、2-3ML厚の極めて薄いInN薄膜の分子層エピタキシ(MLE)を検討する。新規MLE法を用いて、step-free InN QWの厚みを2および3MLに厳密に制御することによって、量子サイズ効果により量子準位を変化させ、緑色および赤色発光実現を目指す。1MLの段差も存在しない理想的なヘテロ界面を電子素子構造へ応用することによって、産業的な応用と共にキャリア輸送機構解明等の学術貢献が期待される。そこで、step-free界面を有するAlGaN/GaN HEMT構造も成長する。また、step-free InN QWを用いてInNの発光機構解明を行う。顕微PL、および、時間分解PL測定装置を用いてstep-free InN QW中に生じた励起子の発光ダイナミクスの検討を行う。さらに、step-freeヘテロ界面を有するAlGaN/GaN、および、AlGaN/AlN/GaNヘテロ構造のキャリア輸送特性に関して、主に極低温におけるホール効果測定法を用いて研究を行う。微小電極を用いたStep-free AlGaN/GaN系ヘテロ構造の極低温ホール効果測定を行い、まずは、理想的な無転位のstep-freeヘテロ界面により、2DEG移動度がどこまで高くなるか検討する。さらに、Shubnikov-de Haas振動や量子ホール効果現象を観察して、Step-free AlGaN/GaN系ヘテロ構造のキャリア輸送特性を解明する。
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