2016 Fiscal Year Annual Research Report
Ion Conductivity in All-Solid-State Thin-Film Lithium Batteries
Project/Area Number |
16H03864
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白木 将 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (80342799)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リチウム2次電池 / エピタキシャル薄膜 / パルスレーザー堆積法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、パルスレーザー堆積法を用いてリチウム2次電池の活物質LiCoO2(以下、LCO)のエピタキシャル薄膜を作製し、さらには固体電解質Li3PO4(以下、LPO)ならびに負極Liの薄膜を積層して薄膜型の全固体電池を作製し、その電気化学評価を行った。 LPOの成膜では、PLDレーザーの繰り返し周波数を5 Hzと20 Hzの2通りで作製して界面抵抗値を比較した。その結果、繰り返し周波数5 Hzで成膜したLPOを有する薄膜型電池では、安定な充放電反応が観測されるとともに、交流インピーダンス測定により、極めて低い電解質・電極界面抵抗(12 Ωcm2)を得ることに成功した。一方、LPO成膜時のレーザー繰り返し周波数を変化させると、界面抵抗が変化し、20 Hzで成膜した場合の界面抵抗は、200 Ωcm2と見積もられ、5 Hzの場合に比べて約16倍大きくなることがわかった。 次に、X線結晶トランケーションロッド(CTR)散乱測定により、低抵抗界面(レーザー繰り返し周波数5 HzでLPO成膜)と高抵抗界面(20 Hzで成膜)の界面構造の違いを調べた。その結果、固体内部では、低抵抗試料と高抵抗試料のいずれにおいても、高い結晶性を有することが分かった。一方、LCOとLPOの界面に着目すると固体内部とは異なる描像が得られた。界面近傍の電子密度プロファイルを比較すると、低抵抗試料では、Co原子層の鋭いピークの両側にO原子層に相当するピークが観測されるのに対して、高抵抗試料における界面近傍のピークはブロードであり、低抵抗試料と高抵抗試料で大きな違いがみられた。以上の結果は、低抵抗界面では、界面での原子配列がより規則的であることを示しており、電解質・電極界面形成時の原子配列の乱れをいかに抑制するかが重要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
LCOの電極界面構造の違いにより、電解質・電極界面の抵抗ならびに充放電反応の安定性が異なることを明らかにした。また、低抵抗界面を実現するためには、電極界面の結晶性を維持することが重要であることが分かったから。
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Strategy for Future Research Activity |
固体電解質・電極界面において、非常に小さな界面抵抗を達成するとともに、その設計指針を得ることができた。今後は、その成果をもとに高電位正極材料のLiNi0.5Mn1.5O4を用いた全固体電池に関する研究を行う。また、高出力化を目指し、大電流密度による充放電試験にも取り組む。
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Research Products
(13 results)