2017 Fiscal Year Annual Research Report
表面X線回折直接法を用いた精密構造解析による超薄膜化に伴う新規物性発現の解明
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16H03866
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
高橋 敏男 東京学芸大学, 教育学部, 研究員 (20107395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白澤 徹郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (80451889)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 表面界面物性 / 超薄膜 / 強相関系 / 表面X線回折 / 位相問題 / トポロジカル絶縁体 / 超伝導 / Bi2Se3 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の研究を実施した。 1) 超高真空槽装置の整備:超高真空中におけるその場観察のX線回折実験をスムーズに実施できるように、試料作製用超高真空槽および低温用小型超高真空試料セルを引き続き整備した。 2) Bi2Se3超薄膜の測定・解析:Bi2Se3超薄膜の膜厚1, 2, 3QL(Quintuple Layer)の回折データの解析を行い、1QLの構造は、バルク構造に比べて歪んだ構造であり、2、3QLではこの構造がバルク構造に漸近することを示唆する結果が得られた。また、波長分散型表面X線回折法によってBi2Se3超薄膜の成長中におけるX線回折データの取得に成功し、上記の静的測定で得られた結果との整合性確認と、2次元-3次元相転移近傍の膜厚である4-7QLの回折データの解析に着手した。 3)ペンタセン薄膜の構造決定:Bi基板上のペンタセン有機分子薄膜が、バルク相と呼ばれる既知の結晶相と同じ格子定数でありながら、従来と異なる新しい分子配向をもつことを、表面X線回折法によって見出した。第一原理計算で得たバンド構造は、既知の結晶多形とは異なり、先行報告されていた実験データを初めて再現した。この結果を誌上発表した。 4) 単層FeSe超薄膜:単層および4層のFeSe超薄膜のX線回折データの取得に成功し、薄膜内部構造および基板との界面接合の構造解析に着手した。 5)Si(111)-√21x √21-(Ag+Au)構造の解析:Si(111)-√21x √21-(Ag+Au)は、Si(111)表面に単層のAgおよび単層以下のAuを蒸着成長させたときに形成される構造で、これまでAuの配列が不明であったが、3量体構造をとることを初めて明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペンタセン薄膜など2編の論文発表ができた。Bi2Se3については測定および予備解析が順調に進展している。FeSeについても予備的な結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
Bi2Se3およびFeSeそれぞれについて、論文発表ができるように測定およびデータ解析を行う。
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Research Products
(8 results)