2016 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of L10-FeNi supermagnet
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16H03873
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小嗣 真人 東京理科大学, 基礎工学部材料工学科, 講師 (60397990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 良雄 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 准教授 (10361198)
水口 将輝 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50397759)
小森 文夫 東京大学, 物性研究所, 教授 (60170388)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | FeCo / PLD / 薄膜磁性 / 磁気異方性 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はレアメタルフリーの高機能磁性材料の実現を目標に、本年度は特にパルスレーザー蒸着装置(PLD)の高度化に取り組んだ。L10-FeCoの磁気異方性は、結晶の規則度と密接な関係を持つことから、試料の平坦性および結晶構造を精密に制御する必要がある。PLD 法はほぼ完璧な layer by layer 成長が可能な手法である。しかし,金属蒸着においてはレートが安定しないなどの問題が知られており,精密な人工格子を安定して作成するのは困難であった。そこで我々は規則度・ラフネスの向上と再現性の確保のため PLD 装置の高度化を行った。 高度化事項として,(1) レーザー強度の自動調整,(2) 蒸着ターゲットの揺動および自動交換,(3) 真空チャンバーー内シャッターの自動開閉を実装した。蒸着レートの安定化にはレーザー強度の安定化が不可欠であるため,ビームスプリッターをレーザー光路に組み込み,レーザー強度の変動を 自動的に補正する制御機構を実装した。シャッター開閉とターゲット交換にはサーボ及ひ&ステッピングモーターを用い,Arduino を用いてコントローラを作成した。汎用のデジタル I/O により PC とコ ントローラ間を接続し,LabVIEW を用いて (1)-(3) を統合的に制御するソフトウェアを作成した。 レーザー安定性を検証した結果、 8.00 ± 0.11(標準偏差) mJ となり、長時間に 渡って安定したレーザーパルスを照射できることが示された。この条件下での Cu の蒸着レートは 78.3 ± 1.2 sec/MLであった。高度化以前の蒸着レート 188.9 ± 27.1 sec/ML に比べ安定性が飛躍的 に改善した。この後数万ショットを経ても蒸着レートの変動は 1 % 程度であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、L10型FeCoの創成を目的に、PLD装置の高度化および安定化を集中的に行い、レーザー強度の自動調整や、蒸着ターゲットの揺動機構、蒸着シャッターの自動開閉に関する技術開発を行った。制御はArduinoおよびLabVIEWを用いて行い、自作のソフトウェアを開発することで、レーザーパワーを自動的に制御することができた。 このような高度化を行った結果、レーザー強度の飛躍的な安定化がはかられ、30分以上の長期間にわたって、安定して蒸着レートを一定に制御することが可能となった。さらにFe 5.7 nm 薄膜を作製し表面モフォロジーを評価したところ,ラフネスは 1 nm 程度でありドロップレットの付着は確認できなかった。以上の結果から,PLD 法を用いた金属蒸着技術として,蒸着レートの安定制御と平坦性の向上を実証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回高度安定化されたPLD装置を活用し、今後はL10-FeCoの作成を行う計画にしている。試料作成ではPLDを活用した単原子交互積層技術を行いると共に、Cuバッファ層を活用した構造制御を行う事で、L10相の安定維持を試みる。成膜試料の構造評価は、RHEEDおよびXRDを用いて実施する予定にしている。また磁気異方性および磁気モーメントの評価はSQUIDを用いて実施する。試料は様々な条件で作成し、繰り返し膜厚に対する依存性、バッファ層の層数依存性、成膜温度依存性、を系統的に追跡する予定にしている。また放射光を用いた物質特性解析にも展開し、磁気円二色性(MCD)解析を実施することで、軌道磁気モーメントおよびスピン磁気モーメントの解析を行う計画にしている。
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Research Products
(3 results)