2017 Fiscal Year Annual Research Report
極低温下でのレーザー照射による単結晶微小物質の作製
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16H03884
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
芦田 昌明 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60240818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 聡 大阪大学, ナノサイエンスデザイン教育研究センター, 特任准教授(常勤) (80403137)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | レーザーアブレーション / 光プロセシング / 超流動ヘリウム / 超伝導 / 微小共振器 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは超流動ヘリウム中で物質に高強度レーザーを照射(レーザーアブレーション)することで、その結晶構造によらず、他の環境では作製が困難なマイクロメートルサイズの真球状単結晶を作製することに成功した。そうした半導体マイクロ球は、高性能な光共振器として動作し、超小型かつ高効率なレーザー光源としての活用など、広範な応用が期待される。その生成過程を明らかとすることによって、さらなる真球性の向上や作製歩留まりの向上を図るため、以下の実験研究を進めた。 これまで研究してきたZnOやCdSeなど発光材料として有力な半導体に加え、In, Reなどの超伝導を示す金属も対象として超流動ヘリウム中でレーザーアブレーションを行い、ナノ・マイクロ粒子を作製した。 粒径サイズの相違によって発光波長が大きく異なるCdSeナノ粒子において、単一粒子分光を行い、バルクのCdSeから大きく高エネルギーシフトした発光スペクトルの観測に成功した。 金属マイクロ球についても、集束イオンビーム装置を用いて切断し、内部構造を観察することに成功した。その結果、ZnOなどの半導体の場合と異なり、内部の空隙が観測されなかった。融液の粘性の違いなども考えられるが、真球状マイクロ球生成過程に関する重要な知見であると考えている。 さらに、超流動ヘリウム中のレーザーアブレーションで作製されたInのマイクロ球を磁気トラップした状況でレーザー光を照射することにより、Inマイクロ球の運動を誘起できることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の半導体マイクロ球の内部構造観察に加え、In, Reなどの金属マイクロ球の内部構造観察に成功し、ZnOの場合と異なって内部に空隙が見られないことを明らかにしたことで、材料によって生成機構が異なる可能性を見出した。これは、真球単結晶の成長過程に関する重要な知見と言える。 論文の掲載、国内外における学会での発表なども順調に進んでおり、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
超流動ヘリウム中におけるレーザーアブレーションによって作製された半導体マイクロ球と金属マイクロ球の比較において、内部構造に大きな相違が存在することが判明したが、その原因を究明するため、照射レーザーの強度依存性や、アブレーションのターゲット材料の結晶性、すなわち単結晶か焼結体かの違いなど、条件を変えた実験を進める。これにより、内部に空隙が生じる理由、さらには真球形状に単結晶が成長できる要因を明らかとする。
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Research Products
(23 results)