2017 Fiscal Year Annual Research Report
Ultrafast control of conductive state by terahertz pulses
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16H03886
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中嶋 誠 大阪大学, レーザー科学研究所, 准教授 (40361662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 龍之介 三重大学, 工学研究科, 准教授 (80452225)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | テラヘルツ / 超高速 / 伝導制御 / 相転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
フェムト秒パルスレーザー励起テラヘルツ波パルスによって、伝導状態の超高速制御を実現することが本研究の目的である。 金属ナノクラスタを有機材料に導入することで、非線形な電流電圧特性,双安定性が現れることを確認した。テラヘルツ波を照射できるように、試料表面に回折格子状の電極を設置し、この状態に、テラヘルツ波パルスを照射することで、高抵抗状態・低抵抗状態間をスイッチすることが可能であることが明らかになった。この成果は応用物理学会で発表された。照射による電気伝導度の変化量の改善やその機構の解明をはじめとして、時間応答測定の実施などを研究をさらに進めていく必要がある。 相制御の観点から、磁性体ErFeO3のスピン再配列転移近傍において、テラヘルツ磁場パルスと、光パルスを照射することにより、相転移後の巨視的磁化をコヒーレント制御できることを明らかにした。これは超高速磁気メモリ等に応用可能であることを示したものであり、Physical Review Letters誌に掲載された。テラヘルツ波に強励起するために、メタマテリアルをはじめとする微小共振器を利用することが有効であるこを示した。またこの金属微細構造と導波路を組み合わせることでさらなる強励起が可能であることをOptics Letters誌にて発表した。 また、相変化メモリとして期待される光記録材料カルコゲン系GeTe-Sb2Te3に、高強度のテラヘルツパルスを照射することで、波長以下の微細構造変化が生じることが確認された(Scientific Reports誌)。テラヘルツ波パルスによって構造変化・加工を誘起できる可能性を示しており、興味深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属ナノクラスタを含む有機双安定材料において、テラヘルツパルス照射による電気伝導度の変化を観測できている。応答変化の改善を目指し、試料の最適化を進めていく必要がある。また、超高速な応答については、高速オシロスコープによる電気的計測だけでなく、光学的手法(テラヘルツ波ポンププローブ分光)を交えて明らかにしていきたい。 本試料での計測を進めていくとともに類似の試料においても、測定を行うことで、目的の実現を目指して、研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度として、これまでに行った研究成果をさらに発展させ、テラヘルツ波パルスによる超高速伝導制御の実現やその機構解明の研究を継続し実施する。また、高強度なテラヘルツ波パルス照射による、相制御や、物質状態のコントロールの実現を目指して研究を進めていく。 有機材料において、テラヘルツ照射によって、伝導状態が異なる状態にスイッチできることが確認されたが、未だその時間ダイナミクスに関する情報は取得できていない。昨年度、この課題を実現するために、テラヘルツ波ポンプテラヘルツ検出のポンププローブ法の構築を行った。本システムを用いて、テラヘルツ照射直後の伝導状態の変化を観測していく。また、試料の改良が非常に重要であることが分かってきており、試料構造や作製条件の最適化を進めていく必要がある。テラヘルツ検出による伝導度の変化だけでなく、光検出や光ファラデー検出と組み合わせて、テラヘルツパルス照射による伝導状態変化や物質状態の変化について、その時間ダイナミクスを明らかにしていきたい。 高強度なテラヘルツパルスの照射では、これまで行ってきたフェムト秒パルスレーザー励起によるものだけでなく、テラヘルツ自由電子レーザー等の外部の大型光源をを用い他測定も検討し、テラヘルツ波による、伝導状態をはじめとする相制御の測定をおこなっていく。 テラヘルツ波による伝導状態をはじめとする相制御を実現することで、新規のデバイス展開の可能性を探索する。
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Research Products
(36 results)
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[Journal Article] Strong yellow emission of high-conductivity bulk ZnO single crystals irradiated with high-power gyrotron beam2017
Author(s)
K. Kato, H. Qiu, E. M. Khutoryan, Y. Tatematsu, M. Tani,T. Idehara, Y. Yamaguchi, M. Fukunari, Y. Maeda, K. Takayama,Y. Minami, M. F. Empizo, T. Kurihara, K. Yamanoi, T. Shimizu, K. Takano, N. Sarukura, T. Fukuda, M. Yoshimura, and M. Nakajima
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Journal Title
Appl. Phys. Lett
Volume: 111
Pages: 031108
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Optical damage assessment and recovery investigation of hydrogen-ion and deuterium-ion plasma-irradiated bulk ZnO single crystals2017
Author(s)
M. F. Empizo, K Yamanoi, K Mori, K. Iwano, Y. Iwasa, Y. Minami, R. Arita, K. Fukuda, K. Takano, T. Shimizu, M. Nakajima, M. Yoshimura, N. Sarukura, T. Norimatsu, M. Hangyo, H. Azechi, T. Fukuda, B. G. Singidas, R. V. Sarmago, M. Oya, and Y. Ueda
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Journal Title
Journal of Applied Physics
Volume: 121
Pages: 175102
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] レーザーカオスと金属V溝を用いたTHz-TDSにおけるギャップ幅の影響2018
Author(s)
桑島 史欣,白尾 拓也,岩尾 憲幸, 大井 真夏, 坂上 直哉, 崎 拓郎,谷正彦, 栗原 一嘉, 山本 晃司, 森川 治, 北原 英明, 中嶋 誠
Organizer
第65回応用物理学会春季学術講演会
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[Presentation] Effect of Metal V-grooved Wave guide gap width on high efficient CW-THz TDS systems using laser chaos and super focusing2017
Author(s)
Fumiyoshi Kuwashima, Takuya Shirao, Yusuke Akamine, Kazuyuki Iwao, Manatsu Ooi, Naoya Sakaue, Takurou Sirasaki, Siori Gouda1, Masahiko Tani, Kazuyoshi Kurihara, Kohji Yamamoto, Osamu Morikawa, Hideaki Kitahara, Makoto Nakajima
Organizer
The 6th "Advanced Lasers and Photon Sources Conference" (ALPS'17)
Int'l Joint Research
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[Presentation] ジャイロトンのサブテラヘルツ波照射によるZnO結晶の発光2017
Author(s)
加藤康作, 邱紅松, Eduard M.Khutoryan, 立松芳典, 谷正彦, 出原敏孝, 南佑輝, Melvin John F. Empizo, 山ノ井航平, 清水俊彦, 高野恵介, 猿倉信彦, 福田承生, 吉村政志, 中嶋誠
Organizer
第5回豊田理研ワークショップ「スピン秩序の動的光制御」
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