2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H03887
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
紀和 利彦 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (00379710)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | テラヘルツ波 / 光触媒 / フェムト秒レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,研究提案者独自のレーザー励起テラヘルツ(THz)波技術を極限まで発展させ,これまで詳細が明らかになっていない光触媒反応過程におけるキャリアの動的過程をピコ秒オーダーかつ数百ナノメートルオーダーで観察する新技術を確立する。 また,代表的な光触媒である二酸化チタンの超高速キャリア輸送現象について明らかにすることで,実現する技術の有用性を評価する。 達成する成果は,超高速光化学分析といった光極限技術と光触媒化学を横断する新しい学術分野の萌芽となる。 平成28年度は,THz波ケミカル顕微鏡の構築を行った。通常,THz波ケミカル顕微鏡では,ケミカルポテンシャルを観測するための“センシングプレート”へ照射する例起用フェムト秒レーザーとセンシングプレートから放射するTHz波検出光学系からなるのに対して,例起用フェムト秒レーザーと同期して,光触媒を励起するためのフェムト秒レーザー光学系を新たに構築した。また,構築した顕微鏡を用いて,光励起緩和過程を計測できることができる初期的結果を得ることができた。 計画以上の成果として,超高速現象ではないが,プラチナ金属表面の局在した電気化学反応の計測に成功し,局所的な光触媒反応計測へ展開するための知見を得ることが出来た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画通り,光触媒の励起緩和過程を観測するためのTHz波ケミカル顕微鏡構築を行い,構築した顕微鏡を用いて,光励起緩和過程を計測できることができる初期的結果を得た。加えて,超高速現象ではないが,プラチナ金属表面の局在した電気化学反応の計測に成功し,局所的な光触媒反応計測へ展開するための知見を得ることが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,予定通り,TiO2薄膜について,構築したテラヘルツ波ケミカル顕微鏡を適用し,光励起キャリアの移動について,評価をしていく。 具体的には,以下の課題に取り組む。 化学ポテンシャル観測用THz波発生素子上にアナターゼ型二酸化チタン膜の作製を行う。作製には常圧焼結法を用いる。アナターゼ型二酸化チタン膜のバンドギャップは388 nmであるが,二酸化チタンの粒子径は数百ナノメートルオーダーであり、バンドギャップに幅がある。そこで,波長可変レーザーを導入し,励起光の波長依存性を計測する。これにより,光触媒の時間・空間・エネルギーの3次元的な特性を得ることができる。
|