2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16H03922
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中西 知樹 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (80227842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国場 敦夫 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70211886)
尾角 正人 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70221843)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 団代数 / 可積分系 |
Outline of Annual Research Achievements |
中西は、計画に従い、団代数の基礎と応用の研究を行った。団代数の基礎について、Fomin-Zelevinskyは、一連の基礎的な論文において、Laurent現象、有限型の分類、分離公式、などの証明とともに、五月雨式に必要な概念の導入を行った。その後、トロピカル化、圏化、散乱図式、一般団代数などの新たな重要な観点が導入され、発展していることから、現在の理解に基づき、諸概念の相互関係を見直し、基礎理論全体の再構築、再定式化を進めた。 国場は、量子群に付随する可積分マルコフ過程の新しい族を構成し、行列積による定常状態等について総合報告をした。応用として2状態模型の場合に局所粒子密度・カレントの明示式を導き、不純物効果を定性的、定量的に記述した。 尾角は、Anne Schilling, Travis Scrimshawとともに、すべての非例外型アフィンリー環に対して、パスから艤装配位への全単射を構成し、統計量の保存、組合せR行列不変性を示した。また、Jae-Hoon Kwon とともに、一般化量子群に対しKirillov-Reshetikhin加群を構成し、結晶基底の存在を示した。それらのテンソル積の組合せR行列やエネルギー関数を求める組合せ論的な規則も見出した。
また、2017年12月、大阪市大において、国際研究集会「 Algebraic and Combinatorial Aspects in Integrable Systems, Integrable Hierarchies and Beyond」を開催し、Paval Galashin氏(MIT)、Rina Kedem氏(Ilinois)、Michael Wheeler氏(Melbourne)、を始めとして、数学、物理学を含めた様々な分野の国内外14名の講演者を招き、活発な議論を行い可積分系の最先端の結果を吸収した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
団代数の基礎理論の定式化として、Fomin-Zelevinskyによる変異を用いた再帰的定義と、Gross-Hacking-Keel-Kontsevitchによる散乱図式による構成的定義があり、両者を融合させ、さらにより一般な団亜群構造を得るることが一つの大きな課題であるが、 中西はこれについて見通しを得つつある段階である。すでについて得られた部分的結果は、研究会で報告しているが、現在までの理解の状況を講義録の形で現在執筆を行っているところである。
国場は、可積分マルコフ過程と量子群の表現論の関連について研究を進め、不純物効果に対する新たな知見を得た。
尾角は、量子群に付随する可積分模型のKerov-Kirillov-Reshetikhinの理論について研究を進め、今まで考察されていなかった種々の量子群に対しても理論が拡張できることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年5月に可積分系におけるPoisson構造の研究の第一人者であるMichael Gekhtman氏(Notre Dame)を3週間名古屋大学に招聘して、中西と可積分系におけるPoisson構造の共同研究を開始する。
また、これとGekhtman氏の招聘と合わせて、名古屋大学において、国際研究集会「 Infinite Analysis 18 Spring School: R-matrices, cluster algebras, and integrable systems」を開催し、Michael Gekhtman氏(Notre Dame)、Pavlo Pylyavskyy氏(Minnesota)、Gus Schraderr氏(Columbia)、井上玲氏(千葉)、大久保直人氏(青学)を講師に招き、可積分系と代数的組合せ論構造の最新の研究内容を多くの研究者と共有することにより、さらなる発展を目指す。
さらに、京大数理解析研究所の2019年度のプロジェクトに中西が主催責任者として応募したプロジェクト「団代数」が採択され, 2019年度6月にRIMSにおいて3週間に渡る団代数の基礎と応用に関する包括的な研究集会を開催することとなった。これは、本研究計画における今後の中心的な研究計画と位置付けられるものである。また、団代数の研究者のコミュニティにおいて、大きな期待を背負っているものである。現在までに、すでに、主要な講演者25名の選定と招待を行った。今年度は、さらに、残りの講演者の選定を行い、計画を達成させたい。
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Research Products
(8 results)