2018 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on Mock Modular Forms and Quantum Invariants
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16H03927
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
樋上 和弘 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (60262151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 斉 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (70192771)
藤 博之 香川大学, 教育学部, 准教授 (50391719)
山崎 玲 (井上玲) 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (30431901)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 数理物理 / トポロジー / 代数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的のひとつとして,結び目及び3次元多様体の量子不変量のモジュラー性を調べることがあげられる.多くの量子不変量はモジュラー性に近い性質を持つことが知られており,量子モジュラー形式と呼ばれる.これまでの研究により,Ramanujanに始まるモックモジュラー形式と密接な関連があることが明らかになっている.量子モジュラー形式およびモックモジュラー形式は,近年,数学・物理両分野においてその重要性が認識され注目を浴びている.2019年3月にはホット・トピックスとしてブラウン大学ICERM研究所において研究集会"Modularity and 3-Manifolds"が開催され,研究代表者も参加し,今後の課題等について参加者と議論を持った. 量子不変量,特に量子モジュラー形式の更なる進展のためには新たな手法の導入が有用である.2018年度は,クラスター代数およびアフィンヘッケ代数を取り上げ,トポロジーにおける役割についての研究を行った. まず,一般の曲面を考察する上で重要となる,1点穴あきトーラス・4点穴あき球面に注目し,character varietyの解析を行い,ポアソン構造をクラスター代数の観点から調べた.この結果は,トーラス結び目や二橋結び目の量子不変量およびそのモジュラー性の研究についても有用であるものと期待される. また,先と同じ曲面のcharacter varietyの研究をアフィンヘッケ代数を用いても行い,結び目の量子不変量との関連についての解析をいくつか行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量子不変量とモジュラー形式の関連については,近年数学・物理の両分野の研究者によりその重要性が再認識され注目を浴びている.2019年3月にBrown大学ICERM研究所にてホットトピックス研究会として”Modularity and 3-Manifolds"が開催され,研究代表者も招待を受け参加した.第一線の参加者とこれまでの成果・今後の指針について多くの議論を行った. また,量子モジュラー形式の研究にあらたな手法を導入するとの目的のため,量子不変量とクラスター代数との関連に注目した.その結果,曲面のcharacter varietyに関する新たな結果を得ることが出来,国際誌に投稿,査読を経て2019年1月に掲載されている. さらに,曲面のcharacter varietyを別の観点からも研究を行い,アフィンヘッケ代数を用いた量子不変量の新しい構成方法を見つけた.結果をまとめプレプリントとしてarXivに投稿,国際誌へも投稿し査読中である. これら新しい手法を用いて量子不変量・量子モジュラー形式をさらにいっそう発展させるべく研究を推進している.着実に成果を出しており,おおむね順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
結び目・3次元多様体の量子不変量の研究に関し,引き続き新たな手法を開発,適用することをめざす.これまでの研究においてクラスター代数,さらにはアフィンヘッケ代数の幾何的な役割が明らかになりつつあり,研究をさらに発展させる. まず,これまでの研究によって得た,3次元多様体のSU(2)量子不変量とq級数に関する研究を引き続き行う.クラスター代数やアフィンヘッケ代数を用いることによりq級数の多変数化を試み,これらの圏論的な特徴付けを試みる. この際,研究分担者と意見交換を活発に持ち,視野を広げ,さまざまな手法をとりいれて研究を推進する.多様な研究背景をもつ研究分担者との議論を通じて,本研究のあらたな展開を探る. いくつか生じうる困難を解消するためには,Lovejoy(フランス),Bringmann(ドイツ)ら海外の共同研究者とも協力し,モジュラー性,q級数についての解析を行う.特に,従来は主にSU(2)型量子不変量を取り扱ってきたが,SU(n)型量子不変量についてのモジュラー性の解析を進める. 2018年度までに本研究計画によって得られた成果を発信し,更なる指針を得るため,いくつかの国際研究集会に参加する.
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Research Products
(11 results)