2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H03938
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
会田 茂樹 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (90222455)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ラフパス / 経路依存方程式 / 確率微分方程式 / マリアバン解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
経路依存RDE(=Rough differential equation)の研究のため、1次元標準ブラウン運動の場合の典型的な例を研究した。1次元ブラウン運動に過去の最大値(または最小値)過程の定数倍と反射壁の項を含む方程式の解として定義される経路依存確率過程はperturbed reflected Brownian motionと呼ばれ1980年代から盛んに研究されて来た。これらの方程式の解の存在・非存在や, 写像のリプシッツ連続性は最大値過程に掛かっている実数のパラメータに大きく依存する。2000年代に入って、これらの方程式の拡散係数が定数でない確率積分を含んだ場合への拡張が英国のZhangらを中心に研究されて来た。Zhangたちは、上述のパラメータがある範囲にある時に解の一意存在、解のマリアバンの意味での微分可能性、解の分布の滑らかさを示していた。今年度は、写像のリプシッツ連続性の議論を精密化することにより、扱えるパラメータの範囲を拡張することができた。また、これらは1次元の標準ブラウン運動を駆動過程とする方程式だが、多次元のラフパスで駆動される方程式の場合についてもこれらの拡張に当たる方程式を考え解の存在を証明した。
第2の成果について触れる。確率微分方程式の場合と同様、RDEの場合もオイラー近似、Milstein近似、 Crank-Nicolson近似などの近似が存在する。[0,1]に属すパラメータを用いこれらの離散近似過程と真の過程を補間する補間離散近似過程を導入し、近似誤差を評価する研究を行った。この研究のキーポイントの一つは、補間近似過程のパラメータに関する微分過程が、良い評価を持つことを示すことにある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RDEの離散近似誤差の研究に関しては、パラメータに関する微分の研究が進み概ね順調に進んでいると思われる。ただし、反射壁RDEの研究およびループ空間およびパス空間上のOU作用素の研究に関しては、perturbed reflected SDEの研究に時間を取られたためもあるが、まだ進んでいない点があり、やや遅れているという区分になる。
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Strategy for Future Research Activity |
離散近似誤差の研究に関しては、1次元RDEの場合の一様評価の部分をcomplementary Young regularityの概念を用いて見直すことを試みたい。OU作用素の解析では、熱核の評価を見直す必要がある。
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