2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H03943
|
Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
宮地 晶彦 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (60107696)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷 康雄 東海大学, 理学部, 教授 (70234903)
田中 仁 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 講師 (70422392)
冨田 直人 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (10437337)
筒井 容平 信州大学, 学術研究院理学系, 助教 (40722773)
澤野 嘉宏 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (40532635)
小林 政晴 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30516480)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 解析学 / 調和解析 / 実関数論 / 関数解析学 / 特異積分作用素 / 最大関数 / 関数空間 / 偏微分方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
多重線形特異積分作用素の有界性と非有界性に関する研究成果。(1)多重線形フーリエ乗子作用素のルベーグ空間とハーディ空間での有界性を保証するヘルマンダー型の条件において、直積型ソボレフ・ノルムを用いて微分可能性を測る設定で、臨界の微分可能性条件を決定した。(2) Flag paraproductと呼ばれるフーリエ乗子作用素の3重線形のものに対して、ハーディ空間・ルベーグ空間・有界関数空間において有界性の成り立つ場合を決定した。 調和解析に現れる非負作用素の重み付き不等式に関する研究成果。(3)多重線形分数階積分作用素において、指数が或る意味で通常の範囲の端点にある場合にもルベーグ空間で有界性が成り立つ場合があることを示した。(4)ユークリッド空間での強最大作用素や方向依存型最大作用素に対して、Fefferman-Stein型の不等式を証明した。(5)分数階積分作用素に対して、Muckenhoupt-Wheeden予想が適当に修正した形で成立することを示した。 偏微分方程式への調和解析の方法の応用に関する研究成果。(6)ナビエ・ストークス方程式を重み付きハーディ空間で解析し、時間に関する減衰についての結果を得た。(7)Keller-Segal方程式の有界な大域解についての結果を得た。(8)線形の偏微分方程式の研究に現れる波束変換について、0でない急減少関数を基本波束とする波束変換がSobolev空間型の波面集合を特徴づけることを示した。(9)モジュレーション空間とウィーナー・アマルガム空間に解析関数が作用することを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下、研究実績の概要に記した番号に従って記す。 (1)は、研究代表者と分担者冨田が双線形のフーリエ乗子作用素の場合に得ていた結果を多重線形の場合にまで拡張した結果である。(2)のflag paraproductは、Muscaluが導入して時間周波数解析を用いて解析を行っていた。我々の研究は、Germain-Masmoudi-Shatahが偏微分方程式の研究で用いたLittlewood-Paley関数を利用するもので、我々はHardy空間と有界関数空間まで含めて有界性が成り立つすべての場合を完全に決定した。(3)は研究分担者の古谷が発見したもので、多重線形分数階積分作用素に関して、これまでになかった興味深い新しい定理である。(4)と(5)は、分担者田中と澤野が研究協力者の齋藤弘樹氏らとともに研究を進めた成果で、どちらも、多変数の非負作用素に対する重み付き不等式に関して基本となる結果である。(6)は分担者筒井が研究協力者の岡部氏らとの研究で得た成果である。重み付きHardy空間では重み付きルベーグ空間の場合よりも広い範囲の重みが扱える利点を応用した研究成果である。(7)は研究分担者の筒井による。(8)は、研究分担者の小林が加藤圭一氏と伊藤真吾氏を共同研究者に加えて行った研究の成果で、Follandが以前に与えていた波面集合の特徴づけを一般化するものである。(9)は、研究分担者の小林が研究協力者の佐藤圓治氏とともに得た成果である。Bihimaniらによる最近の研究で、モジュレーション空間などの作用関数が解析関数でなければならないことは示されていたが、彼らの論文ではこの逆に関することが未解決となっていたのを解決したものである。 領域上の特異積分も我々の研究目的のひとつに含まれているが、2016年度には他の研究を優先し、十分な研究時間をあてなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
多重線形擬微分作用素でシンボルがヘルマンダーのクラスに属す場合において、ルベーグ空間やハーディ空間での有界性について臨界の指数は知られているが、臨界指数の場合の有界性については未解決の問題がいくつかある。2017年度以降にルベーグ空間とハーディ空間において臨界指数での有界性を確立したい。多重線形のflag paraproductの研究では、3重線形については満足の行く成果が得られたが、4重線形以上についても解析を進めたい。ユークリッド空間の領域上の重み付きハーディ空間の研究は2016年度には格別の進展がなかったが、2017年度以降に研究を進める。非負作用素の研究では、2016年度に分担者田中が中心となって得たWolffポテンシャルによる解析の方法を他の場合に応用して研究を進める。偏微分方程式への応用の研究は、これまで同様、筒井、小林が中心となって進める。 以下の研究集会に参加して、我々の研究成果を随時発表し、研究情報交換と研究討論を行う。East Asian Conference in Harmonic Analysis and its Application 2017 (6月、杭州市)。研究集会「調和解析と非線形偏微分方程式」(7月、京都)。Harmonic Analysis and its Applications in Tokyo 2017 (8月、日本大学経済学部)。実解析学シンポジウム(11月、名古屋大学)。調和解析セミナー(2018年3月)。7月にStockholm大学のRodriguez-Lopez氏を招聘し、多重線形作用素、振動積分作用素、それらの偏微分方程式への応用、などに関して研究情報交換と研究討論を行う。
|
Research Products
(27 results)