2016 Fiscal Year Annual Research Report
分子雲の進化を解明する30cmサブミリ波望遠鏡による銀河面サーベイ観測
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16H03961
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
瀬田 益道 関西学院大学, 理工学部, 教授 (80358994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SALAK DRAGAN 関西学院大学, 理工学研究科, 助教 (60739564)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 電波天文 |
Outline of Annual Research Achievements |
銀河面をサブミリ波の輝線でサーベイ観測を行い、分子雲の形成と進化の解明を目指した研究を行っている。 本年度は、研究の初年度であり、サーベイ観測のための装置開発を中心に研究を進めた。先ずは、30cmサブミリ波サーベイ望遠鏡の既存の500GHz帯の サイドバンド分離型(2SB)受信機の中間周波数帯域を、20GHzまで拡大し、一酸化炭素CO及び中性炭素原子CIの輝線が同時に観測できるシステムを構築した。また、CIの高励起輝線の同時観測に向け800GHz帯の2SB受信機の開発を開始した。世界的に800GHz帯の受信機は、雑音性能の制約から、DSBモードのミキサーしか存在していない。ALMAバンド10用に開発された、DSBミキサーの入力にRFハイブリッドを装着して、 2SB化を目指した。計算機シュミレーションにより、雑音温度の増加を避けながら信号を分割、位相差を与えるハイブリッドの設計を進めた。 装置開発と平行して、サブミリ波でのサーベイ観測に向けた、銀河面の観測も進めた。野辺山45m望遠鏡やJCMT15m鏡のCOデータを用いて、超新星残骸に付随した分子雲の観測を進めた。野辺山45m鏡の高い空間分解能 (17")を生かし、比較的遠い超新星残骸Kes79の分子雲の、空間分布や速度構造を調べ、相互作用による膨張を示唆する分子雲を特定した。JCMTの CO 3-2 データとの強度比を計算することで、その分子雲の輝線強度比 R3-2/1-0が高いことを示し、相互作用が強く示唆されている。X線との相関を調べ、宇宙線加速の研究の場としても、この Kes79領域が有用な事を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は装置開発と観測の両面から成る。装置開発では、500GHz帯冷却受信機は増幅器の広帯域化を終え、16GHz帯以上のIF帯域を有する受信機となり、CO 4-3輝線とCI輝線の同時観測が可能となった。また、800GHz帯受信機の2SBハイブリッドの開発に着手した。観測面においては、サブミリ波輝線でのサーベイに向けた観測的な研究を、銀河面、超新星残骸、系外で進めた。研究の成果は、学会発表及び論文として公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
500GHz帯の2SB冷却受信機の詳細な性能評価を進める。800GHz帯2SB受信機に関して、ハイブリッドの製作を進める。銀河面のサブミリ波観測に向けた、観測的な研究も引き続き推進する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] A multi-line ammonia survey of the Galactic center region with the Tsukuba 32 m telescope. I. Observations and data2016
Author(s)
Arai H., Nagai M., Fujita S., Nakai N., Seta M., Yamauchi A., Kaneko H., Hagiwara K.,Mamyoda K., Miyamoto Y.,Horie M.,Ishi S., Koide Y., Ogino M., Maruyama M., Hirai K., Oshiro W., Nagai S., Akiyma D. Konakawa K., et. al.
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Journal Title
Publication of the Astronomical Society of Japan
Volume: 68
Pages: 76-1-12
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 超新星残骸Kes79に付随する星間ガス2017
Author(s)
栗木美香, 久野成夫, 永井誠, 佐野栄俊, 稲葉哲大, 山根悠望子, 吉池智史, 福井康夫, 瀬田益道,
Organizer
日本天文学会2017年春季年会
Place of Presentation
九州大学(福岡県福岡市)
Year and Date
2017-03-15 – 2017-03-18
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[Presentation] NRO銀河面サーベイプロジェクト(FUGIN):超新星残骸に付随する星間ガスに関する研究2016
Author(s)
栗木美香, 久野成夫, 永井誠, 藤田真司, 佐野栄俊, 稲葉哲大, 山根悠望子, 吉池智史, 西村淳, 河野樹人, 福井康夫, 瀬田益道, 梅本智文, 南谷哲宏, 鳥居和史, 松尾光洋, FUGINチーム
Organizer
日本天文学会2016年秋季年会
Place of Presentation
愛媛大学(愛媛県松山市)
Year and Date
2016-09-14 – 2016-09-16