2016 Fiscal Year Annual Research Report
秒角空間分解能の硬X線撮像分光観測に向けたCdTe半導体検出器の開発研究
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16H03966
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
渡辺 伸 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (60446599)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 宇宙物理 / X線天文学 / CdTe半導体検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
秒角の空間分解能を持った硬X線撮像観測の実現に向けて、大面積と100ミクロンの位置分解能を兼ね備えた硬X線撮像検出器、特にCdTe半導体両面ストリップ型検出器の開発、研究を実施した。 100ミクロンというような狭ピッチのCdTe両面ストリップ型検出器を実現する上での第一の課題は、半導体素子上のストリップ電極と信号処理用LSIとを電気的に接続する実装方法であり、本年度は、試作の一部まで行った。試作用に、125ミクロンのストリップピッチ、片面それぞれ256本のストリップ、3.2cm角の撮像領域を持つCdTe半導体素子を開発した。125ミクロンピッチでの接続を実現するためには、新しい配線基板が必要になり、これを新しい素材、手法を用いて、開発し、試作した。このCdTe素子と配線基板の接合を実施し、外観上、接続を確認した。硬X線検出器としての性能検証は未実施で、来年度、実施する予定である。 すでに製作済みの250ミクロンストリップピッチ、60ミクロンストリップピッチのCdTe半導体両面ストリップ型検出器を用いて、詳細な検出器応答を調べる測定試験を実施した。沖縄科学技術大学院大学が開発するマルチピンホールを利用した撮像試験を共同で実施し、研究を進めた。また、これまでは、0.5mmから0.75mm厚の素子を試験してきたが、今回2mm厚の素子の試験を実施し、両面の信号、それから複数ストリップにまたがる信号を使うことで、ストリップピッチよりも良い位置分解能、また、厚さ方向の位置分解能を得られることがわかってきた。これらの知見に基づいて、今後、撮像検出器の設計、試作を実施していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終目標となる硬X線撮像検出器へ向けて、ステップバイステップの研究を進めており、1年目としては、順調に進展している。研究計画遂行に対しては、支障となることは特にない。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の研究実績に基づき、研究計画を遂行する。一部試作した検出器を硬X線撮像検出器として、完成させ、性能検証を実施する。また、測定試験で得られた知見を元に、今後、撮像検出器の設計を実施し、観測装置としての完成度を高めるべく、開発研究する。
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