2016 Fiscal Year Annual Research Report
高輝度LHCに向けた高速高密度読み出しエレクトロニクスの開発
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16H03971
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 純一 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 准教授 (80376699)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 素粒子実験 / 電子デバイス・機器 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 高速高密度化された電子回路基板の開発を開始した。基板のデザインにおいて、申請時に予定していたMicroPODの搭載数を8個から6個に削減し、そのかわりFMCというメザニンカードを搭載できるようにした。高速通信可能なメザニンカードを将来開発することによって、高価なFPGAを搭載した基板を再度開発する必要がなくなる利点があるから、このような変更を行った。また、開発した基板にFMCでオプション追加可能にすることで当初は想定していなかった研究内容にも応用することができる。12月の中旬にデザインの大枠は完了して、回路設計に開始した。KEKのOpen-ItのエンジニアとATLAS実験で液体カロリーメータで同様の電子回路基板を設計している専門家のアドバイスの下、2月中旬に設計(1度目)を完了した。3月初旬にKEKのエンジニアの方と会合をして、設計した回路図の修正、改善点などを議論した。2ヶ月を目処に修正した回路図を完成させることにした。また、基板に必要な電子回路部品の購入も行った。特にインテル社 アルテラ FPGA Arria10の入手には予想以上に時間を要した。 2) 汎用の計算機を用いて10Gbpsと40Gbpsのネットワーク通信ができる設備を購入し、テスト環境を構築した。2台の計算機で40Gbps通信ができていることをiperfを用いて確認した。また、MPO12芯とLCコネクターの変換ケーブルを用いた通信テストも行った。 3) 電子回路基板に搭載予定のFPGA Arria10の開発・評価ボードを購入し、ファームウェアの開発を開始した。 4) この研究開発に携わっている大学院生をATLAS実験が行われているCERN研究所(スイス)や液体カロリーメータグループの会合があるドレスデンに派遣した。海外の研究者やエンジニアからこの研究に必要な情報交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では電子回路基板の設計を完了させ、業者に基板発注を行う予定であった。しかしながら、搭載予定の最新のインテル社 アルテラ FPGA Arria10はH28年度初めの時点ではまだ十分に市場に出荷されておらず入手することが困難なことが分かったため、順番を入れ替えて研究を行った。まずは汎用の計算機や40/56Gbpsの通信が可能な通信機器を購入してテスト環境の構築を行った。結果的にはこの判断は正しく、FPGAが入手できたのは1月であったため、基板の発注を行い、H28年度内に納品することは非常に厳しかった。また、FMCなど当初予定していなかった部品を基板に搭載することにしたので、回路図の作成に時間がかかったことも計画が遅れた要因のひとつである。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 基板の開発を完了する。納品されたボードの基本テストを行った後、さまざまな環境下での高速通信時のパフォーマンスを検証する。 2) 100Gbps通信に向けたテスト環境の構築を検討し、可能であれば機器を購入する。 3) 製作したボードと汎用計算機間でUDP通信可能なファームウェアの開発を引き続き行う。 4) 学会で成果を発表する。
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