2019 Fiscal Year Annual Research Report
格子QCDによるハドロン間ポテンシャルの研究の発展
Project/Area Number |
16H03978
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 慎也 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (30192454)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 格子QCD / ポテンシャル / ρ中間子共鳴状態 / one-end-trick / クォークの対生成消滅 / ππ散乱の位相差 / 微分展開 / 非重心系でのポテンシャル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究実績は以下である。 (1)クォークの対生成消滅が起こる場合のハドロンの散乱過程のポテンシャルを格子QCDで計算する新しい方法を開発し、それをI=1のππ散乱に適用し、相互作用ポテンシャルを微分展開の2次まで計算した。その結果を用いて散乱位相差のエネルギー依存性を計算したところ、先行研究の結果と一致し、さらにより広い範囲でのエネルギー依存性を得ることができた。その振る舞いから、この系に存在が予想されていたρ中間子が共鳴状態として現れることを確認した。先行研究では位相差を計算したエネルギー点が少なかったため、位相差の振る舞いに関する仮定が必要であったが、本研究では広範囲のエネルギーでの位相差の振る舞いを得ることができたため、そのような仮定などを全くせずに、ρ中間子のエネルギーや崩壊幅を決定することができた。したがって、本研究の結果は、格子QCDによる真の第1原理計算と言える。得られたρ中間子の共鳴エネルギーは先行研究の結果を再現した。一方、崩壊幅に関しては、先行研究より大きな値になったが、これは相互作用ポテンシャルの計算が重心系でのみ行われたことが原因である可能性を指摘した。以降の結果は論文として国際学術誌の発表した。 (2)上記の研究で分かったポテンシャルの計算方法の制限であった重心系での計算を、系全体の運動量がゼロでない非重心系(実験室系)に拡張することを試みた。まず、ポテンシャルの定式化を非重心系に拡張し、格子QCDによる計算方法を提案した。計算が比較的容易なI=2のππ散乱に定式化を適用し、相互作用ポテンシャルが実際に計算できることを示した。また、得られたポテンシャルを用いて計算した散乱位相差が重心系のポテンシャルを用いた先行研究の結果と一致することを確認し、この方法が機能していることを示した。この結果は論文として発表する予定である。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(11 results)