2017 Fiscal Year Annual Research Report
最先端測定器に応用可能な2相CO2冷却システムの実現
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16H03992
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
杉本 康博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 講師 (70196757)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 粒子測定技術 / 測定器冷却システム / 2相CO2 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度においては、2相CO2冷却システムの実用化に向けて、高圧CO2に耐性のあるOリングの研究、低物質量熱交換器の開発研究、及びリザーバーシステムの設計を行った。 高圧CO2に耐性のあるOリングの研究に関しては、50℃、7MPaまで加圧できる試験装置を用いて、各種Oリングの耐性を調べた。23時間加圧・加熱、1時間大気圧まで減圧というサイクルを1週間繰り返したのち、Oリングをカットしてその断面にクラックがないかどうかを観察した。その結果、硬度90以上の材質を用いたOリングには劣化が見られないことが分かった。 2重管で構成された低物質量熱交換器のプロトタイプを製作し、まず、内層の細管による圧力損失を流量ならびに内径の関数として調べた。細管としては長さ40cm、外径1/16インチ、内径1.0mm及び0.5mmの2種について測定を行った。測定値は計算値とほぼ一致し、実際に使用する熱交換器は計算に基づいて設計すればよいことが示された。また、内側の細管に15℃の液化CO2を流し、その外側に低温の2相CO2を流した場合の熱交換の様子も調べられた。その結果、熱交換効率は外側を流れる2相CO2の乾き度に依存することが分かった。 リザーバーシステムは元々冷却温度を変更する際にCO2の追加充填や排出を不要にするために考えていたが、それよりもCO2が徐々にリークした場合でもシステムが正常に動作するようにするための機能のほうが重要と考え、そのために設計を変更し、必要となる部品調達を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Oリングの高圧耐性に関しては予定通り進んだが、2重管熱交換器の試験に関してはまだ若干やり残した項目があり、また、リザーバーシステムに関しては、設計変更を行ったこともありまだプロトタイプの製作・試験まで進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には、早急にリザーバーシステムを製作し、既存の冷却システムに組み込んで動作試験を行う。夏までにそれを終えた後、それまでの開発研究の成果を取り入れた新たな冷却システムの試作機の設計・製作を行う。2重管熱交換器に関する試験・測定に関しては、新しいシステムの試作前にある程度行うだけでなく、新たな試作システムを用いても試験を続行して、2重管熱交換器の動作を系統的に調べつくすことを目指す。
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