2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H03996
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高峰 愛子 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 研究員 (10462699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 慧 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (70783158)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高周波イオンガイド / 不安定核 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究に必須の超低速不安定核生成ビーム装置(SLOWRI装置)のうち、高周波イオンガイド法を用いてヘリウムガス中に停止した不安定核イオンを高効率で引き出すガスキャッチャー装置の開発を進めている。このガスセルにおける引き出し機構は二段の高周波電極から成っている。一段目は横方向に距離分の一に比例するようなDC電場を生成することで極力少ない面積に不安定核を集め、高周波電場を印加する必要のある面積を小さくし、軽い元素に対しても十分適用可能な高い周波数で共鳴するようなデザインにしている。1段目の電極から雨樋のように収集した不安定核イオンを2段目の電極に落とし、2段目の電極ではRF電場と4位相のAF電場を印加することで生み出される”traveling wave”にイオンをロックすることで、高速でイオンを下流へと輸送することができるという仕組みである。更に、空間電荷効果の主な原因であるヘリウムイオンは1段目の電極で失われると期待されるため、2段目のAF+RF電極では空間電荷効果の影響を大幅に抑えられると目論んでいる。本年度は製作したテスト電極に対し、表面電離型Csイオン源を用いた輸送効率を行った。1段目の電極に集まる電流を測定し、それに対して、1段目に高周波を印加し2段目までに輸送できる電流との比を輸送効率と見なした。その結果、60%以上の輸送効率を達成したことを確認した。一方、1段目と2段目の間にtraveling waveの適用可能範囲を超える高い引き出し電圧が必要であることが判明したため、電極のデザインを見直し、引き出し電圧を小さくするために電極の厚みを薄くしたものを製作した。現在その新しい電極の輸送試験を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた実験実施場所を変更せざるを得なくなったため、低速RIビーム生成装置のデザインを大幅に変更する必要が生じた。また、新しくデザインした電極についても、想定していたよりも高い引き出し電圧を必要とすることが判明し、その後電極を再デザインするためのシミュレーションに長い時間を要したのが大きな理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、高周波イオンガイドガスセルの開発を進め、オフライン試験において表面電離イオン源を用いた輸送効率測定試験および放射線源を用いて空間電荷を生成することで、輸送効率にどのような変化が生じるかを試験する。ガスセルの直下にはプリント基板を利用した新しいイオンビームガイドを設置し、更にその下流に四重極イオンビーム輸送機構、そして質量分離用の多重反射型質量分析器を設置することで、今年度中にオンラインコミッショニングを開始し、オンラインで得られるRIビームに対する輸送効率を測定する。
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