2018 Fiscal Year Annual Research Report
Dimensional Crossover and Spin-Dependent Transport by Ultra-Thinning of Topological Insulators
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16H03999
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長田 俊人 東京大学, 物性研究所, 准教授 (00192526)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 物性実験 / 超薄膜 / トポロジー / 表面・界面物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の当初の目的は、3次元トポロジカル絶縁体Bi2Se3の層状結晶の薄層化に伴い3次元から2次元へのトポロジカル相の次元交差がどのように起こるかを表面状態による伝導を用いて実験的に解明することであった。しかし通常Bi2Se3結晶はSe欠損のため電子ドープされているため、前年度までの研究でゲート電圧、イオン液体、分子ドーパント等を用いて余剰電子の相殺を図ったが、フェルミ準位をギャップ内に制御し表面伝導を観測することはできなかった。そこで本年度は研究の対象を3次元ワイル半金属である1T'型WTe2に変更し、Bi2Se3と同様に薄層化に伴うトポロジカル絶縁相への次元交差を調べることにした。この場合はワイル半金属特有のワイル軌道による伝導の量子振動を用いて薄層化の効果を調べる。WTe2もBi2Se3と同様に大気中で劣化するので、グローブボックス内で超薄膜に劈開した後、電子線リソグラフィー法で素子構造に加工し、10T超電導磁石を用いて磁場中電気伝導の実験を交流法で行った。磁気抵抗に重畳するシュブニコフ-ドハース(SdH)振動をFFT解析したところ、主に先行研究で報告されている3次元バルク結晶由来の4種の周波数ピークが観測された。しかし薄膜化に伴い50nm(70層)程度の膜厚以下でSdH周波数は一様に減少し始め30nm(40層)程度以下では各ピークの低周波側に弱いサブピークが多数現れることを観測した。以上の振る舞いは、膜厚がド・ブロイ波長(の整数倍)に近づき、積層方向の電子波数が量子化された結果、4つのフェルミ面を与える3次元バンドが2次元サブバンド群に分裂したとするモデルで定性的によく説明される。先行研究でワイル軌道由来の量子振動とされていた低周波側のピークは、サブピークの1つと解釈すべきことも明らかにした。今後は単層化に伴うトポロジカル絶縁体へ相変化を解明する予定である。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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