2017 Fiscal Year Annual Research Report
六方晶や三角格子等の特殊構造が生み出す新奇超伝導のNMR法による研究
Project/Area Number |
16H04016
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鄭 国慶 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (50231444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
俣野 和明 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (70630945)
川崎 慎司 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (80397645)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 空間反転対称性 / 核磁気共鳴 / 超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は特殊な結晶構造を有する物質(K,Rb)2Cr3As3や、Ir1-xPtxTe2、CuxBi2Se3、SrxBi2Se3等において、新奇な超伝導状態を核磁気共鳴(NMR)法によって探索することである。これらの系はいずれも六方晶か三角格子の構造を有する。K,Rb)2Cr3As3では空間反転対称性が破れており、反対称スピン軌道相互作用が強く、スピン三重項超伝導が期待できる。また、Ir1-xPtxTe2のバンド構造にバン・ホッフ特異点があり、非従来型超伝導状態の実現に有利な条件が整っている。本研究では、195Pt-,75As-,77Se,25Te-及び87Rb-NMR等の測定を行い、スピン格子緩和率やナイトシフトの温度・結晶軸方向及び磁場依存性から、特殊な結晶構造が生み出す新奇超伝導の物性を明らかにする。 CuxBi2Se3については、前年度までにスピン三重項状態を77SeーNMRのナイトシフト測定によって初めて確立させたが、なお多くの課題が残っている。それを解決するために、高品質な単結晶の作製が必要である。今年度はこれに注力して超伝導体積分率が50%を超える単結晶試料の作製に成功した。(K,Rb)2Cr3As3において、超伝導ギャップに点状の節が存在することをスピン格子緩和率の測定から明らかにし、強磁性的なスピン揺らぎが強いことをナイトシフト等の測定より明らかにした。また、Ir1-xPtxTe2においては、従来型超伝導から大きく遺脱する振る舞いを観測した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超伝導研究においてクーパー対の対称性を解明することは重要である。本研究でCuxBi2Se3のスピン三重項状態を発見したことは意義が大きい。また、高品質な単結晶を量産できる体制を確立できたことも重要な成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
CuxBi2Se3については、クーパー対を記述するdベクトルのピン止め機構を明らかにする。また、スピン三重項に特有な内部自由度の有無を詳細に調べる。さらに、スピン格子緩和時間T1を超伝導転移点前後で測定し、超伝導ギャップ関数の対称性の解明を目指す。 (K,Rb)2Cr3As3やIr1-xPtxTe2等においても超伝導対称性の解明を進める。
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Research Products
(5 results)