2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16H04018
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田村 隆治 東京理科大学, 基礎工学部材料工学科, 教授 (50307708)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スピンクラスター / 準結晶 / 近似結晶 / クラスター磁性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年、結晶中で見出されたスピン正20面体の様々な磁気秩序に関して、その制御法、その磁気構造を明らかにし、スピン正20面体の磁性について学理を創出することが目的である。具体的な研究内容は、スピン正20面体結晶の合成およびその磁性評価、結晶構造解析、中性子回折実験および磁気構造決定である。 H29年度は、H28年度に発見された反強磁性スピン正20面体結晶の構造解析と中性子回折実験に注力した。構造解析は、GdおよびTbを含む反強磁性スピン正20面体結晶について行い、粉末から単結晶粒をピックアップし、単結晶X線回折測定を通じて構造精密化を行い、構造決定した。これにより、磁気構造決定のための構造モデルが得られた。構造解析の結果、いずれの希土類元素も正20面体の頂点を占有率100%で占有していること、またその他のサイトは非磁性元素で占められていることが判明した。 中性子回折実験は、オーストラリアのANSTO中性子施設で実施した。磁気転移点以下でBCCの対称性を破る位置に磁気ブラッグ反射が発達していく様子が明瞭に観察され、反強磁性秩序を有していることが実証された。また、単位胞の頂点と体心位置にあるスピン20面体が非等価となることで、磁気ブラッグ反射が生じていることが判明した。 現在、単結晶構造解析により得られた構造モデルをもとに磁気構造を行っているところであり、大体の構造は解けている状況にある。反強磁性秩序は単純なNeel相でなく、カイラリティーの異なる2種類のスピン20面体が存在する様子が明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、固体中のスピン正20面体の磁気秩序を明らかにすること、および、その制御法を確立することを目的としているが、磁気秩序に関してはほぼ解明されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度は、中性子回折データをもとに、スピン正20面体上の反強磁性秩序を解明すること、また、理論家と共同して、反強磁性磁気秩序を再現し得るスピン模型を探索し、スピン間の相互作用の仔細をはじめ、その磁性の起源に迫る予定である。
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Research Products
(3 results)