2017 Fiscal Year Annual Research Report
Collective behavior and hysteresis on organic active matter
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16H04032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊田 太郎 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (80422377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 智 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (10711715)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 駆動現象 / 履歴現象 / 両親媒性分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,水中で化学エネルギーを運動エネルギーに変換する有機微粒子(ここでは有機アクティブマターと呼ぶ)が,多数の集団になったときに初めて現れる群れの現象と,過去の動きの履歴が時間発展の中に現れる現象を,バクテリアモデルとして構築し,その中での分子レベルのダイナミクスの時空間発展を理解することが目的である。有機アクティブマターの中でも,バクテリアサイズの等方相液滴や液晶滴に焦点を絞り,群れの動きや個々の時間発展に内在する,分子-微細構造形成-アクティブマターの動きという,動きの階層性の時空間発展の本質に迫る。 本年度は,有機アクティブマターを観察するためのデバイスに用いる材料開発を主眼に研究を行った。粒径が数十マイクロメートルの有機アクティブマターの動きの履歴現象を追跡するためには,同じ空間を動きまわるだけでなく,動いている間に空間そのものが変化する摂動を加えてその応答を観察する必要がある。デバイスの材料として用いられるポリジメチルシロキサンは熱によって形状可変であるが,観察系への加熱はアクティブマターの動きにも影響を与える。そこで,光によって局所形状可変な新規ポリジメチルシロキサンを開発した。このポリジメチルシロキサンは,主鎖末端のヘキサアリールビイミダゾールの光による切断と再結合によって,星型ポリマーとネットワーク型ポリマーとを繰り返し行き来できるものである。紫外線照射によって,このポリジメチルシロキサンが無溶媒下でも,流動化と非流動化を繰り返すことができることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は,履歴現象を追跡するためのデバイスの新規材料開発を行うことができた。申請段階では履歴現象へのアプローチとして実現が難しいとされた,アクティブマターを動いている最中に空間を変形させるという摂動を,新規ポリジメチルシロキサンを利用することで新たに実現できるようになった。最終年度では,この材料を利用して,有機アクティブマターの動きの履歴現象の本質へ迫る。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,3次元可変迷路の作製と顕微鏡開発を進め,有機アクティブマターとして自己駆動油滴の履歴現象の実験的解析法の確立を目指す。また同手法を,群れを形成させた自己駆動油滴やリン脂質液晶滴の追跡実験に適用して,動きの集団効果について本質に迫る。
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Research Products
(7 results)